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映画「ファーストキス 1ST KISS」
※少し結末に触れております。ご了承の上お読み頂ければ幸いです。
硯カンナ(松たか子)は結婚15年目にして、夫・硯駈(松村北斗)を事故で失ってしまう。彼の生前、夫婦は倦怠期にあり、駈は離婚届を持って出勤する途中で、電車に轢かれたのである。失意の中、ある時タイムトラベルの方法を会得したカンナは、駈が事故死する運命を変えるべく、過去へ旅立つ。
タイムリープものであり、パラレルワールドものでもある。あの時、精肉店でコロッケを買っていなければ、あの時、駈が非常通報ボタンを押していれば…など、さまざまな可能性を検討し、カンナは過去に「行き」、小さな事実を改変してゆく。だが、何度改変してもどう改変しても大きな事実=駈の事故死は変えられず、彼女はもどかしさを味わう。
過去に戻り、試行錯誤を繰り返すカンナだが、コレはうまくいかないと判断したら、潔く(?)あきらめ、現在(未来?)へ戻り、再び過去へ「来て」、同じ場面をやり直す。従って観客である我々は同じシュチュエーションを何度も見る事になるが、その先は少しづつ違うのである。
過去現在未来を自由に行き来し、あるかもしれなかった未来を手に入れるため、過去を変える。コレが出来たらどんなにいいだろう。それこそ「人生が二度あれば」(©井上陽水)どんなに素敵だろう。だがそれができないから、そこに「後悔」が生まれ、「淋しさ」も生じてくる。だが、その「後悔」や「淋しさ」が成長の糧となり、幸福へと誘ってくれるのかもしれない。カンナにとっては、それが餃子というカタチで現れたのだ。
松村北斗の憂いを含んだ演技が素晴らしい。何と言っても松たか子の時に美しく時にチャーミングな演技に夢中になった。
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