四月になれば彼女は
これはふたりの女を愛しきれなかった男の物語。
藤代俊(佐藤健)のもとに届くエアメール。かつての恋人・伊与田春(森七菜)による旅先からの手紙だった。彼女は藤代と行く筈だった地を巡っていた。
藤代俊と坂本弥生(長澤まさみ)の物語
藤代と弥生は結婚の準備をすすめていた。幸せなはずなのに、突如弥生が失踪する。どこへ行っても誰に尋ねても行方は沓として知れない。
藤代俊と伊与田春の物語
藤代と春は大学の写真部で知り合った。二人はいろんなところの夜明けを見に行こうと約束する。実際に空港で落ち合った二人だが、春が急に難色を示す。
恋愛も結婚もしない人が増えていると言う。面倒くさく、厄介且つ金のかかる事は御免という訳か。付き合っていてもはじめは新鮮でも、だんだんお座なりになってきて、サボり始める。面倒くさくなる。藤代は弥生や春の事が本当に好きだったのか? 藤代は彼女達の足跡をたどる先に見つけたものは自分自身だったのかもしれない。
あのときのわたしには、自分よりも大切な人がいた。それが、永遠に続くものだと信じていた。
だが、春は選べなかった。彼のもとへ走れなかった。選択の恐怖というものがある。ある選択肢を選ぶと他の選択肢は自動的に排除される。彼を得る幸福よりも得ることによって生じる喪失感をおそれたのか。そんな性質は弥生にもあった。藤代が彼女達と恋に落ちたのは必然である。
愛を終わらせない方法、それはなんでしょう?
前半で弥生が藤代に問いかけた質問に後半で弥生自身が答えている。だがそれは回答ではあっても解答ではない。その答えは私達自身が持っている。
佐藤健の抑制された演技も長澤まさみの何かを押し殺したような演技も素晴らしかったが、森七菜の存在感が圧倒的だった。