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あまろっく

 東京の大手企業で働いていた近松優子(江口のりこ)は切れ者ながら(であるがゆえに?)リストラに遭い、故郷・尼崎へと帰って来る。39歳・独身。
 実家では父の竜太郎(笑福亭鶴瓶)65歳が「祝リストラ」の横断幕を掲げ、赤飯を炊いて待っていた。しかも、市役所で働く早希(中条あやみ)20歳と結婚するという。父と娘と父の再婚相手。おかしな共同生活がはじまる。

 「あまろっく」は正式名称を「尼崎閘門」という。尼崎市南部の海抜ゼロメートル地帯の治水・高潮対策と臨海部の船舶利用を両立させるため、昭和30年に日本で最初のパナマ運河方式の閘門として建設された。だが、地元・尼崎の人でさえ、「あまろっく」を知らない人が多い。この巨大な建造物は台風やゲリラ豪雨などの水害の度に尼崎市民を守ってきた。
 普段は目立たないが、有事に力を発揮する。この姿は鉄工所を経営する竜太郎の姿と重なる。いつもは周りの人とダベってばかりの彼が、1995年の震災の折には多くの人々を救うべく、西宮へ向かった。若き日の竜太郎は尼崎出身の松尾諭が演じる。

 俺は我が家のあまろっくや

 この言葉は伊達や酔狂ではなかった。
 
 優子と早希の関係も興味深い。家族に恵まれなかったがゆえに竜太郎や優子に家族であることを求める早希。優子はそんな彼女が鬱陶しい。だが、優子の気になるヒト・南雲広樹(中林大樹)の登場あたりからふたりの関係に変化が生じ始める。
 台風の晩。ベットの上で寄り添う優子と早希。なぜか笑っている早希に優子が

 何わろてんねん

 だからさっきから何わろてんねん

 と突っ込むのがおかしい。

 大切なひとを守るのは大変な事だ。言葉よりも行動が大事だ。

 私も誰かの「あまろっく」になれるだろうか。

 


 

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