10月28日(土)鈴々舎美馬 前座最後のネタ下ろし勉強会(なかの芸能小劇場)
美馬 金明竹
11月1日(水)から二ツ目に昇進する美馬さん。前座時代最後の勉強会である。
先日、相模原で行ったストリート落語の話をする。聴いていた小学生から「BS笑点」に出てますよね?と言われる。どうやら蝶花楼桃花師と間違えられたようだ。
前座時代、最も多く高座にかけたのが、この『金明竹』である。集大成と言ってもいい。猫を借りに来た男と馬鹿と言い合うくだりに美馬さんらしいおかしみが溢れている。
美馬さんは「喋る」だけでなく、「聞」いて、「受ける」事ができている。つまり、リアクションがうまいのだ。その表情が実にチャーミング。それはカラフルな美馬落語へとつながっている。
美馬 猫と金魚
三遊亭志う歌師に習った。「はなしのわからない」人がまわりに多くいる主人の苦悩を描く。コミュニケーションの齟齬が笑いを生み出す。
美馬さんは番頭や熊さんを「ただのバカ」として扱わず、「はなしのわからないひと」と扱うことによって、現代にも通用する問題点をあぶり出している。それはコミュニケーションの不全である。
ー仲入りー
美馬 ナースコール
三遊亭白鳥作。白鳥師に稽古をつけてもらおうと頼みに行ったら、「CD出てるから、それ買って」美馬さん、CD買わずにアマゾンでポチッ!白鳥師からは、もう一つ注文が。「その通りやるなよ。好きに変えろ」
白鳥版では婦長とミドリちゃんの会話から始まるが、美馬版は、ミドリちゃんではなく、美馬作『エステサロン』の主人公・愛ちゃんに置き換わっている。しかも、婦長が「あいちゃん」と呼ぶと「ラブちゃん」と訂正するメンドささ。メンソレータムのくだりでは、ラブちゃんのエロさと闇が遺憾なく発揮される。
ナースコールで呼び出され、ヨシダさんの部屋に向かうラブちゃん。ヨシダさんのセクハラ要求にそれ以上のエロ&闇で応酬するラブちゃん。美馬さんの新作落語に時折見え隠れするエロ要素は兄弟子の鈴々舎馬るこ師の影響だろうか?
林家つる子さんの新作には必ず、みなみちゃんが登場するように、美馬さんの新作には必ず、ラブちゃんが登場するのだろうか?サイコパスなラブちゃんの活躍を期待したい。
終演後、席亭(オフィス10)の和希むつみさんから美馬さんにお客様がメッセージを寄せた色紙がプレゼントされた。また、むつみさんの合図でお客様全員で下記のメッセージボードを客席から掲げた。粋な計らいで、感動的な二ツ目への旅立ちとなった。