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10月11日(金)文京シビック寄席 柳家さん喬 独演会(文京シビックホール 小ホール)


小きち  弥次郎

伊織  黄金の大黒
 薬剤師の妻に養ってもらっている事を嘆く。

さん喬  時そば
 日本から四季がなくなった、旬がなくなった、というマクラから本題へ。少し早い気もするが、落語は季節を先取りするので、スッとおはなしのなかへはいってゆく。
 最初の客が「気障なこと言っちゃってゴメン」と言うのがおかしい。
 そばを食べたくなったが、来る前に近くの立ち食いそば屋で食べてしまったので、帰りは食べなかった。

さん喬  笠碁 
 たったひとことの「待った」がつまらない意地の張り合いを生み、二人のおじいさんの幼児性を容赦なくあぶり出す。遊びに耽っている時には幼児のように無心になる。この時、精神も子供返りしているのだろう。これは退行と呼べるのだろうか?

ー仲入りー

さん喬  ちきり伊勢屋
 麹町で質屋のちきり伊勢屋を営む傳次郎は「必ず当たる」と評判の易者、白井左近に占ってもらう。左近は、傳次郎の顔に死相が浮かんでおり、来年二月十五日には死ぬと言う。それまでにせめて善行を施しなさいと告げる。その日から傳次郎はあらゆる善行を施すが、その度に人の嫌な面を見てやめてしまう。傳次郎は憂さ晴らしに吉原へ遊びに行く。そこで幇間の善公に出会う。後日、ともに行った待乳山の帰り、父親と娘二人が川に身投げしようとしている。二人で彼らを助け、事情を聴いてみると…。

 情けは人の為ならず、かけた恩が自分に帰ってくる。思わぬところで思いがけない人と出会い、運命が好転したりする。出会いと人への思いやりが死を回避したのだ。

 柳家さん喬と言えば、雪の情景が思い浮かぶ。『芝浜』でも『雪の瀬川』でも『福禄寿』でも高座に見えない雪を降らせた。
 三味線が入る。傳次郎がおみよに傘を差し掛けながら、雪の中を歩く。傳次郎は「おみよさん、わっちは…」と言うと、おみよは「え?いまなんて言ったの?」と聞く。だが、その声は雪にかき消される。

 日中暑かったので、私はTシャツを着て行ったが、終演後会場を出る前に長袖を羽織って後楽園駅へと急いだ事である。

 

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