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1月31日(金)第8回 落協レディース只今参上! ―一般社団法人落語協会 女性落語家勢揃い―

〈昼の部〉真打おでこぴか 二ツ目前髪お嬢さん


 今回の『落協レディース』にはコンセプトがある。仲入りまえの二ツ目の方々はおでこを前髪で隠している。仲入り後の真打は全員おでこを出している。

一花  駆け込み寺
 お得意の一席。そういえば「その晩余計燃えるんです」のくだりがなかったな。

杏寿  琉球竹
 仲買の弥市の言い立てが沖縄弁になっている。後半、おかみさんが説明するくだり、「ゴーヤはおいしくない」「安室奈美恵を最近見ない」など言い立てとは関係ない物が多い。沖縄弁がお客に分からないからだろうが、ここらへん言い立てと説明をリンクさせた方が良い。
 

きよ彦  代行サービス
 タンス職人に入門したのは弟子代行サービスの社員だった。弟子代行サービスは辛く厳しい職人の修業を本人に代わって遂行する職業である。もちろんそんな仕事はないわけだが、退職代行サービスなる物が流行る昨今、ありそうと思わせる。
 終盤、ある人物が登場して、人情噺的になるのは私の好みではない。新作落語はもっとクールで不条理な方が良い。ただ、意外なサゲは良い。

なな子  源平盛衰記
 師匠・正蔵の父、林家三平の十八番だが、なな子さんは源頼朝・義経兄弟にフォーカスを合わせた。そこにギャグをぶち込むのは三平師同様である。

ー仲入りー

和泉  スブヤ
 東京に憧れる田舎者の恋人同士が東京に関する妄想トークを繰り広げる。この新作落語、どことなく太田裕美「木綿のハンカチーフ」を連想する。

こみち  妻の酒
 
コンセプトに従っておでこを出すために前髪をてっぺんで結んでしまう。
 普段妻に酒の事で叱られている亭主。逆に妻に酒を飲ませて、旦那のせいではなく酒のせいなのだと分からせようとするが…。酒を呑むにつれ豹変してゆくのがみものだ。こみち師が細川たかし「心のこり」を熱唱するのはききもの。

きく姫  片棒
 つい最近結婚されたとか。
 師匠・木久扇譲りの華やかさで登場し、そのままの勢いで「片棒」へ。

菊千代  松竹梅
 松竹梅の三人を女性にしたが、それほど効果があったのかどうか?

ニックス  漫才
  末廣亭の前には昼の部トリの「林家つる子」と夜の部トリ「柳家花ごめ」の二本の幟が立っている。コレは実は不吉な事ではないのか?とトモさんが指摘する。ここで「かごめかごめ」を歌いだす。

かごめかごめ
かごのなかのとりは
いついつでやる
よあけのばんに
つるとかめがすべった

 ここでつる子師乱入!

 
すべりません!

つる子  ねずみ
 あまりの盛況ぶりに高座に上がるなり、涙を流す。林家つる子は「泣き芸」を確立しつつある。
 まだまだ寒いこの時期に師匠・正蔵譲りのハートウォーミングな一席で客席を包む。左甚五郎とねずみ屋の父子が織りなす人情噺。仙台の街並みを思い浮かべた。








 


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