なすの一生

漬物や田楽も素敵だけれど
麻婆茄子になりたい
君のくちびるピリッと傷つけて
旨味を届けたい
君のほっぺた落としたい

「あなたの好物はなんですか?」
と訊かれた時、僕はいつも迷ってしまう。
好きなものが沢山ある。
嫌いなものすら思い浮かばない。

「〇〇が好きです。理由は〜」とさらりと言える人はカッコいい。
僕が迷っているうちに、その人は次の会話につなげる技術を持っている。

好き嫌いがないとは、優柔不断で不幸な事にすら思えてくる。

そんな簡単な答えも用意していない自分が恥ずかしい。
僕もそんな人になりたい。

そう思ったある日、美味しい田楽を食べて「生まれ変わったら茄子になりたい」と言ったことを思い出した。

世の中に美味しいものは沢山ある。
茄子は、どの国の料理にも縛られず、季節問わず、色んな美味しいものになれる、世界中で重宝されている食材だ。

実はスーパースターなのだな、君は。

僕は「茄子を好物」と言うことにした。
「来世は茄子になりたい」と言うことにした。

もし来世に茄子になったら、どんな料理になりたいか?
これはまたとっても悩ましい質問だ。
しかし、そこまで答えてこそ、茄子の話題で盛り上がるのではないか?

そうやって、冒頭の歌詞が生まれた。

instagram atsushi_gt 「なすの一生」 

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