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【ワインの記録】Restaurant 360 Dubrovnik でのペアリング
イースターの連休を利用して、クロアチアのドゥブロヴニクという街に旅行してきました。4月9日の夜はミシュランの星を一つ持っているというRestaurant 360 Dubrovnik でAntologijaというコース料理をいただきまして、一皿ごとにクロアチアワインをペアリングしてもらいましたので、その記録です。
1皿目:SCALLOPS
Tartar/ Kohlrabi dressing & mousse / Yuzu gel / Estragon oil
帆立貝のタルタルで、柚子のジェルがアクセントを加えています。魚とソースに甘みがあるから、との理由でクロアチア内陸部の北の地域にあるVINARIJA KOPJARというワイナリーのリースリングを合わせてくれました。アルザスやドイツのリースリングに比べて酸味と果実味は弱く感じましたが、ペトロール香や柑橘の香りは確かにリースリング。繊細な柑橘系の酸味とミネラル感は、貝の甘みを引き立てると共に、複雑さを加えているように感じました。
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Perfektan balans između prirodno izraženih kiselina i neprevrelog sladora dodatno apostrofira graciozan hod po nepcu. Aromatski sklop (citrusi, nektarine, natruhe petroleja) obogaćen je finom mineralnošću te diskretnim botrytisom, koji koncentrira okuse unoseći dašak tropskog voća i mednih nota. Idealan izbor uz riblje specijalitete i školjke, kao i uz jela od bijelog i crvenog mesa.(概要:柑橘類、ネクタリン、ペトロールのアロマは、繊細なミネラルと控えめな貴腐菌によって豊かになり、トロピカルフルーツと蜂蜜のニュアンスを導入することでフレーバーを凝縮しています。魚料理や貝類、白身や赤身の肉料理と相性が良い。)
2皿目:MACKEREL
White turnip / Potato and miso mayo / Bonito dressing
タイセイヨウサバを、しっとりとした舌触りになるよう絶妙な火の通し加減(蒸した?)一皿。魚臭さではないサバの香りが感じられます。ソースは味噌がはいったマヨネーズとハガツオのドレッシングと、和のテイストの一皿です。
ということで、エキゾチックなフレーバーの料理だからと、クロアチア南部の沿岸部にあるVinarija Crvikというワイナリーのオレンジワインを選んでくれました。品種はマルヴァジア。シェリーのような香りと金柑のような和柑橘の香りと苦味が料理に加わり、タンニンが最後を引き締める。非常に相性の良い組み合わせで感嘆しました。「窓から見える、あの丘の向こうがこのワインの産地なんですよ」という説明もまた、味わいを加えてくれます。隣国のスロヴェニアはオレンジワインで有名ですが、クロアチアでも作られているんですね。
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This Malvasia is specific because it fermented in a barrel and aged and been mixed together with grape skins and seeds in a wooden barrel for exactly 8 months, after which it aged for another 4 months without the pomace.(概要:このマルヴァジアは、樽で発酵させ、木樽の中でブドウの果皮と種子を混ぜて8ヶ月間熟成させた後、さらに4ヶ月間熟成させるという特殊なものです。)
3皿目:SEA BASS
Leek / Langoustine / Fish mayo / Beurre blanc
ハタの焼き物。マツカサ焼きのように鱗をパリパリに焼いた部分が香ばしい。ソースにエビや海苔が入っていて、海の香りが濃厚な一皿。
合わせたのはGrgić VinaというワイナリーのPošipという品種で作られた白ワイン。ワイナリーはドゥブロヴニクよりも少し北の沿岸部にあります。パイナップルやアプリコットなど、黄色い果実の香りと味わいのワイン。軽い樽香と皮の香ばしさ、果実味とソースの濃厚さがよく合いました。シャルドネを合わせるのと近いイメージかも。
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4皿目:PIGEON
Pigeon / Jerusalem artichoke / Confit shallots / Capers sauce
写真で赤身が見えるのが鳩の胸肉、白い粒々がまぶされているのが足、奥の丸いものは、鳩のレバーペーストが入ったパイのようなものでした。火の通し加減が絶妙でした。
4皿目で初めての赤ワインとなりました。Coronicaというワイナリーの、Teranという品種の赤ワインです。ワイナリーはアドリア海に浮かぶコルチュラ島にあります。ラズベリーやブルーベリーの瑞々しい果実の香りと味わいが印象的でした。酸とタンニンもしっかりあります。似ているワインを思い浮かべようとすると、シチリアのエトナ山の赤ワインでしょうか…
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デザート:TIRAMISU
Crunchy biscuit / Coffee syrup / Caramel / Vanilla / Bailey’s ice cream
ソースが層状になっているのではなく、平面的に盛り付けられていて見た目に美しかったです。
これには、プラヴァツ マリとポシップ ビイェリという品種から作られた遅摘みの甘口の赤ワインがペアリングされました。濁りがあり煉瓦色がかった色合いで(熟成した赤ワインのボトルの底の方ってこんな色ですよね)、レーズンのような凝縮感と赤い果実のフレッシュ感が同居する不思議な感覚のワインでした。ヴィンテージが2015年とそれほど経っていないから故のフレッシュ感かもしれません。ティラミスにベリーの風味が加わり、いい組み合わせでした。これはアドリア海に浮かぶブラチ島にあるワイナリー、StinaのStina ExProšek - Jako vinoというワインなのですが、ここのワイン、表のラベルが全て白紙なんですよね。
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Grožđe iz najboljih vinograda ostavlja se na drveću da se suši. Ručno ubrano grožđe iz vinograda na južnim padinama. Kratka fermentacija na kori prije prešanja. Duga fermentacija soka u barikama nakon prešanja. Dozrijeva najmanje 36 mjeseci u rabljenim barikama.(概要:最良の畑のブドウを木につけたまま乾燥させる。南の斜面にある畑のブドウを手摘みで収穫。圧搾前に皮の上で短時間発酵させる。圧搾後、樽の中で果汁を長時間発酵させる。使用済みの樽で最低36ヶ月間熟成させる。)
全体に
この記事を書くためにワインの生産者を調べてみたら、1皿目を除き、供されたワインは全てクロアチアの沿岸部、しかも多くはアドリア海の島のワイナリーのものでした。ドゥブロヴニクの旧市街の港を望むという、レストランの立地も意識されているかのようなワインの選択、唸らされます。
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