【ワインの記録】Atto di Vito Mollicaでワインのペアリング
2023年の年末に、イタリアのフィレンツェに旅行してきました。12月29日の夜はミシュランの星を一つ持っているAtto di Vito Mollica でCorte degli Imperatoriというコースをいただきまして、一皿ごとにトスカーナ地方のワインをペアリングしてもらいましたので、その記録です。
1皿目:Marinated red prawns, turnip greens and annurca apple
りんごの風味が爽やかな、ほぼ生のエビを使った料理。エビの風味はちょっと薄いように感じました。
これにはFrescobaldiの2018年のミレジムのロゼのスパークリングワインを合わせてくれました。トスカーナ地方に初めてピノ・ノワールを導入したのがこのワイナリーだそうです。ロゼの持つ厚みのある果実味とイースト香のような香ばしさがエビの滑らかな味に合いました。
2皿目:Miso glazed aubergine, chocolate and raspberry
火を通したナスを、ダークチョコレートと味噌マヨネーズで味付けし、ラズベリーのソースを添えた一皿、絶品でした。ナスとチョコレートの組み合わせは南イタリアのスイーツでよく見られる組み合わせだそうです。「ナスと味噌の組み合わせは日本でも伝統的なんですよ」と言ったところ、シェフの一人が1年間日本に滞在したことがあり、そこからヒントを得た皿とのこと。
ワインはCastello di Monsanto のシャルドネ、2021年。樽の風味はやや控えめでレモンのような爽やかな果実味がやや濃いめの味付けのナスによく合いました。
3皿目:Pomegranate risotto with hare salmi
野うさぎの濃厚なソースの上にザクロで味付けされたリゾットを持った一皿。お米を果実で味付けするというのはとても新鮮でしたが、混ぜながら食べていくとソースの野生味とザクロの爽やかさがバランスして、不思議な体験でした。
合わせたのはTenuta Sette Cieliというワイナリーのnoi 4 Bolgheri DOC。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、プティ・ヴェルド、カベルネ・フラン。ベリー系の果実味と針葉樹林や鉛筆の芯のようなハーブ感が料理に加わり、要素が増えてバランスも整うような印象を生ました。
4皿目:Roe deer loin with chestnuts, blueberries and dolceforte sauce
鹿のローストのブルーベリー&チョコレートソース。ダークチョコレートを使ったdolceforte ソースと野生肉の組み合わせは、フィレンツェの伝統料理。こうしたコースの中でこうした地元の料理を楽しめるのは嬉しいですね。
合わせたのは、Tiezzi というワイナリーのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、2015。すでに熟成感も出つつあり、エレガントな印象のブルネッロでした。
デザート:Persimmon Savarin, ricotta cheese and Panforte ice cream
提供はパンフォルテ(pantforte, フルーツやナッツが入った伝統的な噛み応えのあるイタリアのデザート)が先でした。口の中をサッパリさせて欲しいとのこと。パンフォルテは砕いてアイスクリームの周りに散りばめる形でした。
続いて、柿を使った焼き菓子(サヴァラン)。
これにはPieve di CampoliというワイナリーのVin Santo del Chianti Classico Pieve di Campoli DOCG, 2001が提供されました。熟成が進んでいることを窺わせるきれいな琥珀色で、ドライフルーツやキャラメル、黒砂糖の香り。あんずや柿に似た果実味と酸味が焼き菓子によく合ったように思います。
全体に
訪問時(2023年12月)、Atto di Vito Mollicaでは3つのワインペアリングのコースを提供していました。今回お願いしたのはトスカーナ地方のワインペアリングで、残りの2つはシャンパーニュ&スパークリングワインのコース(魚介だけのコース料理があるのでこれには合いそうですね)と、Iconicと題されたコースでこちらはトスカーナ地方とブルゴーニュ地方のワインが提供されるとのことでした。
記憶に残るような特別なワインではありませんでしたが、いずれもフィレンツェの伝統を汲んだお料理との相性は良かったように思います。ワインを主役ではなく料理の引き立て役と捉えれば、そのくらいの方が良いのかもしれません。