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旅の記:2023年9月のツアー㉘稲佐の浜・屏風岩・因佐神社(島根県出雲市)

【旅の記:2023年9月のツアー㉘稲佐の浜】

国引き神話では島根半島と三瓶山をつなぐ綱とされる薗の長浜にあります稲佐の浜。ここは国譲り神話の舞台ですね。末っ子・スサノオが長女・アマテラスの怒りを買って、高天原から追放され降り立った出雲の国。スサノオはヤマタノオロチを退治(斐伊川を治水)して国造りをはじめ、六世孫(日本書紀では息子)であるオオクニヌシが、いろいろなことがありながらも素晴らしい国に仕上げていく。それを見た長女のアマテラスは「あそこは私の子、アメノオシホミミが治めるべき」と息子を送り込もうとするが、「ちょっと見てみましたが、大変騒がしいところで、、私には手に負えない」と報告します。そこで頭脳派といえばこの神、オモイカネが中心となって神々が相談して、アメノホヒという神が選ばれてオオクニヌシのもとへ行くが、3年経っても帰ってこず、オオクニヌシの家来となってしまってた。それではとアメノワカヒコという神を送り込んだが、なんとオオクニヌシの娘と結婚し、国を奪い取ろうと計画、8年も帰ってこなかった。これを追求するためにキギシノナナキメという雉の女神を遣わすと、アメノワカヒコは射殺してしまう始末。アメノワカヒコは結局この時使った矢に胸を射抜かれ死んでしまう。オモイカネさんの人選が、、さぁ、もう失敗は許されない、ということで高天原最強の武神タケミカヅチを送り込むことを決定、アメノトリフネを副使として、稲佐の浜に降臨した。タケミカヅチは十束剣(とつかのつるぎ)を逆さまに突き立て、その切先にあぐらをかいて「さぁ、どうすんねん?」と啖呵を切ると、オオクニヌシは息子のコトシロヌシに聞いてくれと、といった。コトシロヌシはこの時釣りに出かけていて、連れ戻されたが「怖!ど、どうぞどうぞ」と言って船をひっくり返して隠れてしまった。「そしたらもう一人息子がいるから、聞いてみてくれ」と話していると、「だれがひそひそ話してるんじゃい!」ともう一人の息子タケミナカタが現れて、そんなことなら力比べで決めいようじゃないかとなりました。タケミカヅチの手をつかむタケミナカタ。するとタケミカヅチは手をつららに変え、さらに剣に変え、さらに最後はタケミナカタの手を握りつぶして放り投げてしまった。これはいかん!と逃げるタケミナカタ。タケミカヅチは諏訪湖のあたりで追いつきとどめを刺そうとするが、タケミナカタは「恐れ入りました!わたしはこの土地から他の場所には行かないので、助けてください」といって国譲りを認めたのでした。
と、ちょっとセリフは僕の脚色が入っていますが、結局長アマテラスは欲しいものを手に入れたということですね!タケミカヅチはそのまま勢いで?常陸国の鹿島神宮の主祭神となり北方ににらみを利かし、タケミナカタは他の神が出雲に集まるときも諏訪にいることになったとさ、とかなり簡略していますが、ここから「天孫降臨」のお話につながるわけですね。
そして神無月、出雲では神在月に全国の八百万の神が集まる際の玄関ともいわれていて、「千と千尋の神隠し」のシーンを思い出しますね。

弁天島。かつては弁天様を祀ったが、いまは海神ワタツミを祀る。
剣の切先にあぐらをかいてるなんて、それだけで怖いよね。
浜の近くには屏風岩があり、オオクニヌシとタケミカヅチがこの岩陰で国譲りの話し合いをした、ということです。
崩れそうで心もとないですが、いつまでの残り続けますように!
さらに進むとタケミカヅチを祀る因佐神社があります。地元では「速玉さん」と呼ばれているそうです。出雲大社の摂社です。

タケミカヅチは常陸国からさらに北へ勢力を広げる中央政権の守り神として鹽竈神社でも祀られていますね。タケミナカタはオオクニヌシと翡翠の産地・糸魚川のヌナカワヒメとの子供です。母の住む糸魚川と息子がいる諏訪湖が糸魚川静岡構造線でつながっていて、諏訪湖と常陸の国(さらに伊勢神宮・高千穂)は中央構造線でつながっている可能性が高いという。そんなことも考えて神話を読むと面白いですね!


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