見出し画像

ついにきた年末の大勝負

ついにこの運命の2日間を迎えた。


協力してくれる友人と現地で集合して、自分たちのブースの準備を始めた。

会場には室内と室外の出店スペースがあり、ラッキーなことに僕たちの店は入口の真横。

「全員が通るところだから試飲で全員掴めるぞ!」と朝からワクワクしていた。

そんな調子でレイアウトをし、ブースを完成させた。


午前11時、マーケットは始まりちらほら人が集まりだした。

僕たちは準備できるものが限られていたので5種類の商品に対して2種類の試飲しか用意できなかったが、その2種類を全力で提供して必死に覚えた英語でこのお茶の良さや日本のことなどを片言英語で話していた。

話すうちにどんどん英語のクオリティーが上がっていたと思う (そう思いたい)

しかし大きな問題があった。

たくさんの人が立ち止まって試飲を飲んでくれて、その間に会話を弾ませていたが誰一人購入までに至らない。

朝のワクワクとは変わって2人とも焦りを隠せずにいた。

そして開始から1時間半が経ったとき、やっとの思いで初めて購入してくれる人が現れた。

今でも覚えているがその女性は日本が好きで何度か行ったことがあるといって、さらに日本茶が好きだと3つ買ってくれた。

自分たちの力というよりはその人の好みに悠三堂のお茶がマッチした結果だったが本当にうれしかった。

その後、このまま頑張るぞ!と気持ちを立て直していたが購入してくれる人は少なかった。

なのでこの日は諦めて明日に繋がる作戦を立てることにした。

値段や、試飲、話す内容などを何度も変えて、何が原因なのかを探ることにした。

そこで分かったこと

・キャッシュはあまり持っていない
・お茶はホットで初めて力を発揮する
・無農薬よりノンカフェインを好む人が多い
・ジャパンというワードに反応する
・味がわからないものには興味はない
・購入モチベーションを持って来たというより散歩


今見れば当たり前だろと思うことがたくさんあるが全く分かっていなかった。

とにかく2日目は何とかしてホットを提供できるようにしようとたくさんの人に連絡をした結果、そのうちの1人がケトルを貸してくれる事になり、さらに2つの保温タンブラーも手に入れた。

「よし、とりあえず煎茶と烏龍茶はホットで本領発揮させて、あとはアイスで提供できるようにしよう!」

さらに説明書きも長文をすべて無くして「肌が若返る」「脂肪燃焼効果がある」など端的に効果だけを伝えて、それぞれカフェインレベルを書くことにした。


その夜

初日の大きな失敗で落ち込んでいたのと、朝からほとんど何も食べていなかったので、こっちに来て初めてのパンダエキスプレスに行くことにした。

去年アメリカに来たときは「安いし、量多いし、最高!」と言っていたこの店が今は高級料理店になっていたが、この日ばかりは食べないとやってられなかった。

閉店ギリギリの時間に滑り込んだので、購入して店の前で食べていると、あるホームレスが話しかけてきた。

彼が何を言っているのかいまいち聞き取れなかったが、要するにお金をくれという事だろうと1ドルをあげた。

なぜお金を渡したかというと、仏教的な教えで「喜捨」という言葉があり、よくホームレスに少しだけお金を渡すことがある。

この喜捨とは簡単に言うと、良いことをしたと思い、勝手に自分で自分の運気をあげる行為で、要はモチベーションをあげるためのおまじないだ。

彼は1ドルだけかよという顔をしてどっかに去っていったので、「あげなかったらよかった」と日本語でいうと、何かを察したのか振り返ってニコニコとこっちに手を振ってきた。

そしてパンダエキスプレスでもらえるフォーチュンクッキーの中には「Your future looks bright (あなたの未来は輝いている)」と書いていたので

「運気上がった!明日いけるぞー!!」と元気を取り戻していた。(基本的にすごく単純)


そして迎えた2日目

この日は手に入れたホットが見事に的中して、試飲を飲む人の反応が明らかに違うと2人とも感じていた。

初日は「How is it? (味どう?)」と聞くと「unn Good (うん、いいね)」という反応だったが、2日目は「Excellent (すばらしい!)」だった。

初日は全く売れなかった烏龍茶が次々と売れていく!これはいけるぞ!と2人ともノリノリで話し込んでいた。

そしてある作戦に出た。

「思い切ってタンブラーをあと3つ買って全部ホットで提供しよう!」

それしかない!とそこから現金片手に近くのターゲット(デパート)に走りこんだ!

そして変な色の格安タンブラーを3つ手に入れて早速、全種類のホットの試飲を用意した。

しかし薄々気がついていたが、この日の集客数は前日に比べて結構少なかったので、結果的に売れていく数はそんなに多くなかった。

とはいうものの、日本茶で感動している人が多くいて「クレジットなら買えるんだけど、近くにATMある?」という人も5組ほどいたので、それだけの良さは伝えられたと思った。


知り合いの方が告知してくれて他のタイミングでお茶を販売したこともあり、結果的には合計で500個中100ちょっと売ることが出来た。

だがこれは大赤字だ。


いつも思い立ったら考えずに先にアクションをしてしまう。それが今回も仇となり失敗した。

シリコンバレーに飛び込んできたこともそうだが、計画性がなく思考が浅くて、いつも何とかなる!と思い込んではいるが地に足がついていない。

そしてこんな失敗をするまで学ばない。

アメリカの偉大な投資家ウォーレンバフェットが言ったリスクは相対的だという言葉の意味を「リスクがリスクで無くなるまで努力しろ!」と勘違いしていた。

しかし本当の意味は選択と集中(専門性)や徹底的に調べ上げたうえでの見極めだったのだろう。

完全に調査不足だったし、500個という数は無謀すぎた。


しかし過去を悔やんでいるだけでは意味はなく、次にどうするのかを考えなくてはいけない。

そうこうしていると、何とか卸しの費用は立て替えてもらえることができ、売り上げから実際は500ドル(約55000円)を手元に持つことができた。

さらに奇跡が起きて、以前に家に泊めて頂いた日本企業の方が1か月間ほど日本に帰るという事で、そこの家に1カ月間住めることになった!

よく「ギリギリで生きてんな~ww」と言われることがあるが、本当にギリギリで耐えていると実感している。


ここまでの1カ月間の戦いの中でたくさん思考が分散して手段が目的化していた。しかし条件は変わりながらも一旦落ち着いたので、これをいい機会に計画を立て直して残りの3カ月間を見直そうと思う。

そして反省を生かしてこれからも挑戦していく!


たくさんのアドバイスや応援ありがとうございました!本当ならパッピーエンドで期待に応えたかったのですが、現実はそう甘くないみたいです。まだ次の道がなんとか開けたので計画し直して、ここでの価値の最大化に励みたいと思います!

いいなと思ったら応援しよう!

Sean Kuraoka
貴重な時間を使って読んでいただけるだけで嬉しいです!!ありがとうございます!