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勝つ就活って本当に必要なの?(中編)

後編に入る前に、簡単に自己紹介します。起業した塾の経営(10年目)、理系の大学のキャリアデザインの講師(7年目)を行っています。その前はメーカでのエンジニア、IT企業でと合わせて足掛け10年のサラリーマンの経験を持っています。

前編では、「勝ち」ではない「価値」に重きをおいた就活もあるのではないかというところで話を終えました。

後編では、「価値」に重きをおいた就活とはどういう意味なのか、どういう働き方、仕事の選び方になるのかについてお話いたします。

「働き方」の3つのパターン

1.組織に属する
→無経験でも入社さえすれば安定した収入が得られる
2.起業して組織を作る
→お金や人を集める力、もしくはなんらかの技術など収益をあげるための方法を知っている、もしくは身に着けている必要がある
3.フリーランスで働く
→経験や技術など、なんらかの収益をあげる方法をもっている

そのうちのどのパターンを使いますかというところが最初の入り口になります。これは仕事の中身ではなく、働くスタイルになります。

フリーランスと起業の違いというのは人によって定義は異なると思いますが、ここではフリーランスというのは、あくまで自分が中心となり、自分だけで仕事を回していくことを意味します。起業は自分も働くけれども、複数の人に仕事をお願いしながら回していき、自分は組織を運営することを意味します。

このようにみると、大学や専門学校を出て、すぐに収益を得られるようにしようと考えると組織に属することが一番、確実であることがわかります。

その場合、有名企業であれば収入と雇用は保証されますので安心を得ることができます。

有名企業に入るのは大変ですが、そのあとは一番楽で確実な方法です。
起業とフリーランスについては、不確実性要素が組織に属することに比べると段違いに大きいです。

つまり、ここに「価値」を感じるのかどうかということです。
だれでも、安定は求める部分はあります。それは人の本能でしょう。
明日、食べていけるかわからないような状況を望む人はそれほど多くはありません。

明日食べていけるかどうかを心配することはわかりますが、10年後、20年後を見越して大企業や公務員になる必要があるのかどうか、ということです。

ここでも「価値観」による違いが出ます。
家のローンの審査などであれば、大企業や公務員が通りやすいのは確かです。ただ、そうでないとローン審査が通らないということはありません。別に大手に限らず、中小企業であっても問題はありません。

それよりも、これまで生きてきた中で、カードの支払いが遅れたことや、スマホなどの支払いが遅れたりする方が、マイナスポイントです。

もっと言ってしまえば、そもそも家を買う必要があるかどうか、という部分もあります。ここも「価値観」です。

そこが本人にとっての一番の「価値」であるのならば、それ以上のことはありません。むしろ、積極的に大手企業や公務員を目指すことが大切です。

ただ、10年後、20年後に組織が自分を雇用してくれているだろう、ということに「価値」を感じない人もいます。

それよりも、自分が何をやって、仕事をするのか、世の中にどういう価値を提供していくのかということに重きをおく人もいます。
そういう人のためにここから書いていきます。

仕事に感じる「価値」は全部で3種類

1.安心・安定
→大企業や公務員などの組織に属すること
2.収入
→外資系企業やコンサルティング企業、歩合制の営業などの、なんらかの企業に属すること、または起業して組織を大きくする
3.やりがい
→フリーランス、起業、自分にあった(大企業でも中小企業でも)組織の仕事など

この3つは全て実現することも可能です。
この3つをどのようにバランスをとるかで変わってくるからです。

ここでも「価値観」が影響します。
「安心・安定」について言えば、作家や画家であれば、5年後の仕事の受注状況は予想できないでしょう。それでも、その本人がそこに不安を感じなければ別にそれは不安定ではないわけです。

「収入」にしても、年収400万円でいいひともいれば、年収2000万円はないと困るという人もいます。これは家庭の状況によっても異なります。

今回、特に重点をおいてお話したいことは、この「やりがい」の部分になります。「やりがい」については、大企業だろうと、中小企業であろうと、公務員であろうと、起業家であろうと、フリーランスであろうと、全ての働くスタイルで感じることができるともいえるし、できないとも言えます。

ここでも、その人の「価値観」が大きくかかわってくるからです。

「やりがい」は3つの要素でできている

1.「自分の仕事」という「やりがい」
2.やっている行為そのものに対する「やりがい」
3.誰かに喜んでもらえるという「やりがい」

大企業や公務員では、「自分だけの仕事」という「やりがい」は持ちにくいです。なぜならば、その人がいなくても回るように組織は作られているからです。

自分がいないと、この組織は回らないなんて言っている人がいたら、それは自分が見えていないか、もしくは自分に自信がない人です。

つまり、「自分だけ」という自分での達成感というのは良くも悪くも、大企業や公務員では、中小企業や起業家やフリーランスに比べて持ちようがないわけです。

中小企業の場合は「自分だけ」ということも十分あり得ます。
そして、先に述べたような、「自分がいないと組織が回らない」ということだってあるわけです。
それはリスクとも言えますが、組織の人数が少ない分、一人ひとりの責任が重いわけです。当然、それに対しての「やりがい」も生まれます。
そこに「価値」を感じる場合は、大企業や公務員を選ぶ選択肢をしなくてもいいということになります。

次にやっている行為そのものに対する「やりがい」についてお話します。

それは、その行為、つまりモノを作るのか、絵を描くのか、Webデザインをするのか、ゲームプログラミングをするのか、営業をするのかなどです。

その行為自体に「やりがい」を感じているのかどうかということです。その行為自体に「やりがい」を感じるかどうかについては、組織の大きさがここでも影響してきます。

組織に属した場合、そもそも仕事を選ぶことはできません。それは大企業に限らず、中小企業もその点は同じです。
また、起業家は、あれもこれもやらないとなりません。プログラミングが好きだから、というだけで組織を回すことはできません。
組織を作っていくためには人とお金の管理が主な仕事になります。
もちろん、人とお金の管理が好きで起業する、という場合であれば、自分の「やりがい」に重ねることはできます。

フリーランスの場合は、この点については一番有利でしょう。
なぜならば、自分がお金を生み出す必要があり、そしてその仕事は自分が選ぶことができるからです。また、最初に書いたような、「自分の仕事」という「やりがい」も感じることができると言えます。

そもそも、仕事をフリーランスが選べるのかどうか、ということについては、収入やその人の実績などにもよりますので一概には言えませんが、組織に属しているよりは選ぶことができます。

3つ目の「やりがい」の誰かに喜んでもらえるかどうか、についても、やはり組織が小さければ小さいほど、それを直に感じることができます。
組織が大きくなると、お客さんから遠くなるために、なかなかそれを感じることができなくなります。

大企業よりも、むしろ中小企業やフリーランスの方がお客さんとの距離が近くなることが多いです。
もちろん、そのあたりは業種にもよります。組織が大きくても、直接お客さんと接することが主な仕事であれば、誰かに喜んでもらうことができる場合もあります。

終わりに

就職活動において、一番重要なことは、自分がどこに「価値」を置いているのかということに尽きます。

今回、いくつか「価値」について書きました。

その自分の感じる「価値」を項目わけて、点数をつけて合計点を出すと、自分がどういう働き方を望んでいるのかを分析することができます。

就職活動で重要なことは、自己分析とよく言われます。
それは、自分の強みや弱みを知ることも大切ですが、自分の「価値観」を明確にできるかどうかが、本来重要なのです。

たった100年程度の人生です。
嫌なことをイヤイヤやる時間などありません。
自分の毎日を充実させて、誰かに喜んでもらえることより大きな価値はないのではないでしょうか。

ひと昔前の(今でも中学受験はそうですが)受験スタイルで、ハチマキしめて、他人を蹴落としてでも難関企業からの内定を取ることだけが「勝ち」でも「価値」でもないということです。

その人にとっての「勝ち」になる「価値」を得られる企業や働き方を選ぶことが大切です。

あなたが大切にしている「価値」はなんですか。

最後の後編では、それを具体的な就活に落とし込む方法をお伝えします。

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