あつ

徒然なるままに

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  • トランス男子が大人になるまで

    30歳、トランスジェンダー男子。生まれたときは女の子。そんな自分が大人になれるのか、不安で不安で仕方がなかった。 13歳の時、タイムカプセルに入れた手紙に、20歳の自分に「生きていますか」と書いたのだ。そこから10数年の時を経て、自分の人生を振り返る。 自分とは、自分のセクシャリティとは、様々な性に関して悩むあなた、そしてそんな誰かを思うあなたに伝えたい「大丈夫」の言葉。君は一人じゃないよ。

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第二章 試行錯誤を繰り返した小学生時代①

一、私は将来女の子 小学校に入学してから最初の1年目は小学生の生活に慣れることが大変だった。徒歩での通学が難しい場所に住んでいたため、毎日スクールバスで通学をしていた。とってもしつけの厳しかった古村先生に怒られないように生活する日々。 友達のことで覚えているのはアンパンマンのトレーナーを着ていったら、ある女の子に「ダサ」と言われたこと。とてもショックだった。男女分け隔てなく好きでいられるアンパンマンにも消費期限があると知らされた。小学生は小学生の中で上手に生きていくことに

    • 第一章 小学校に入学する前③

      三、どうしてもイヤだったスカート 僕の人生で一番縁遠いもの、それがスカートだった。「女性の服」というわかりやすさが何より「自分は女の子です」と宣言しているようでイヤだった。女の子らしい服という点では、フリフリしている服も嫌いだった。けど、ことスカートに関しては全身で拒絶していたように思う。 普段の生活ではTシャツに短パン、もしくはズボンと活発に遊べるような格好をしていたし、牧場育ちでお隣さんが何100m先にあるという環境で育ったため、女の子らしい服を着ろと言われることはほ

      • 第一章 小学校に入学する前②

        二、保育所での初恋 よくある話、「Q:初恋の相手は誰ですか?」「A:保育所の○○先生です」というやつ。ご多分に漏れず僕もこのパターンだった。「みゆき先生」という名前だったと思う。20代で黒髪の長髪でとにかく優しかった。4歳から5歳ぐらいのころ、その気持ちに恋という名前が付いていることなんて知らなかったけど、なんとなく側にいたい、特別に思われたいと思っていた。そしてその気持ちと同時に女の子である自分が女性の先生に対して、そう思うことが少し変なのではないか?そう思っていたことも

        • 第一章 小学校に入学する前 ①

          一、タキシード仮面になりたかった僕 僕の一番幼い記憶はいつ頃か、それはきっと3歳ぐらいだと思う。3歳まではベビーホームに、3歳から6歳までは保育所に通っていた。その中で一番古いであろう記憶はベビーホームの記憶で数人の女の子達と一緒に人形を背負わされいわゆる「おままごと」をさせられたこと。イヤな記憶はいつまでも覚えているもので、しかも実家にそのときの写真もあるせいか、こと鮮明に「イヤだった」のを覚えている。 ベビーホームに通っていた頃の記憶はそれぐらいしかないけれど、保育所

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        • トランス男子が大人になるまで
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        記事

          はじめに

          はじめに 僕は13歳の時、20歳の自分に向けて手紙を書いた。その手紙は何者かによって掘り起こされてしまったタイムカプセルを埋め直すために改めて書いたものだった。そしてその手紙の中に、「生きていますか?」「もし生きているのであれば、よく頑張りましたね」と書いたのだった。  僕は北海道のある地方で生まれた。両親にも愛され、割と裕福な生活をさせてもらい、勉強もそれなりにでき、そして友達もそこそこにいた。にもかかわらず、中学生になったばかりの頃、20歳の自分が生きているのかどうか心

          はじめに

          派遣会社『現実逃避』

          今から約6、7年前「よ・う・か・いのせいなのね、そうなのね!」となんでも妖怪のせいにしてしまう歌が流行ったことがある。 その時は、なんでも妖怪のせいにしてしまう風潮を心配する保護者まで出だしたそうな。 今コロナの影響でそれまでの生活ができていない状況で、僕のところにはたくさんの妖怪が訪れている。 きっと今までにもたくさんの妖怪が訪れていたけれど、大人になってしまった僕はその存在に気付けなかったのだろう。 今回はこのコロナ禍で、大量に僕のところにやってきている

          派遣会社『現実逃避』

          好きなことは苦手さえも克服させる

          走るのは大嫌いだ。なんなら運動が大嫌いだ。しかし今日、私は走りながらあることに感動した。 私はこのお正月、文字通りの寝正月を過ごしてしまった。 美味しい物を食べては、寝て。 酒を飲んでは、寝て。 退屈しのぎにギターを弾いて、そして寝て。 そんなことをしていれば、間違いなく摂取カロリーと消費カロリーの対決は摂取カロリーが圧勝するに決まっているのだ。 そして出来上がったのは、丸々と肥えた輪郭である。私の顔の中にはあんこは入っていない。しかし、出来ることならそんな顔をちぎ

          好きなことは苦手さえも克服させる

          クリスマスに願いを込めて

          世は気がづけばクリスマスイブ 聖なる夜に願いを込めて、なんて言えば耳障りが良い気がするけれども。実際のところはどうだろう。 私の勤務先はキリスト教主義であり、この前クリスマス礼拝なるものが行われた。 私はキリスト教というものに造詣が深いかといえばいささか疑問が残るが、出身大学はキリスト教系列であり、きっとそれなりにご縁はあるのだろう。 クリスマス礼拝では、いくつかの賛美歌を歌い、礼拝のメッセージを聞き、イエスの生涯について触れ、神が降りてくることに感謝をする。 去年

          クリスマスに願いを込めて

          家族になるとは

          僕のパートナーはいつもいつも僕が考えていることの斜め上をいく。 その度に、叶わないなぁと思わされるのだけれども、そこにいつも彼女の魅力を感じている。(これがただの惚気であることの自覚はある) 昨日、散髪をしに行った。大学生の時からお世話になっている美容室。 3月で今勤めている場所を離れること、今後は彼女のところに行きたいと思っていること、結婚や子育てのこと、そして僕がロンドンの大学院に行きたいと思っていることなど、ざっくばらんに話をした。 そこでふと思ったのは、これか

          家族になるとは