【MEMO.10】ひとにとどける
最近、いろんな業界の人と話していて思うことがあります。
作られた製品であったり、あるいは、生み出された思いを相手に届けるためには、それがいかにしてその人のもとへ届けられるのかを考える必要がある、ということです。
いいものをつくった。これは本当にいいものだから、きっと売れるはずだ!
そう思って、作ってからそれ以上なにもしない人がいるのをぼくは知っています。本当はそこからが勝負で、いかにしてその製品であったり、生み出した価値観を求めている・届いてほしいと思っている人に届けるかを考えないといけないのです。
ぼくの知っている、いわゆる「ヒットメーカー」という人たちは、もちろん製品作りの際も、細部までこだわりぬいて作る人たちですが、それよりもなにより「いかにして相手にとどけるか」を全力で考え抜いている人が多いです。
インターネットが普及して、スマホが登場して、10年前とはくらべものにならないくらい一人の人間が1日で受け取る情報量が増えてしまって、できればなるべく受け取る情報量を制限したいと思っているのが現状だと思います。
だから、みんなだんだん自分の知りたい・ほしいと思っている情報しか得ようと思わなくなって、どんなに優れた製品も、人生を変える力をもっているものであっても、ひとに気づいてもらいづらくなっていて、情報の海に沈みがちです。
そんな時代だからこそ、物であれ価値観であれ、生み出したものをいかにして相手に届けるかを考えることがとても大切な時代になってきているのではないでしょうか。
先日、渋谷で行われたとあるイベントで、こんな話がありました。
そのイベントは企業のビジョン・ミッション・バリューについて考えるものでした。登壇されたプランナーの方が、自分が企業のビジョンやミッションなどの言語化やコピーをお手伝いするときは、それが社員に届くまでをすべて設計してやっているのだそうです。
社長がある日思いついて、ビジョンやミッションなどを全社員に伝わるような形で生み出そうとするのですが、実際には、作ったはいいものの、それをいかにして浸透させるかを考えないでそのままになっていることがあるのだそうです。
とある企業は、その生み出したビジョンやミッションなどを仕事の評価項目にいれてそれを浸透させる工夫をしているようですが、たぶんここで大事なのは、そのミッションやバリューがいかにして一人一人の社員にとって自分事かされていくか、そのコミュニケーションの過程を設計することではないでしょうか。
一人の社員がその価値観とどう向き合って、どういう思考を経て自分事として自分のなかへ受け入れていくのか、そのためのストーリーを設計するのが「あいてに届ける」ことだと思うのです。冒頭に書いた、「いいものを作ったから売れる」理論ではなく、「いかにして相手の心を動かすか」を深く考えるようにしたいですね。
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