制約社員とは、成功が約束された社員
仕事と家庭を両立するうえで大切なのは、子どもや親にはペースを合わせる一方で、常に仕事や家事の効率化を考える姿勢だ。私は2回の育休体験を経て、マルチジョブをこなす能力も高まった。
夕方、保育園の迎えに間に合うように仕事を終え、子どもたちとともに父の介護のために実家へ行く中で実感しているのが、時間管理の大切さだ。
仕事で培った能力は育児や介護にも生かせる。赤ん坊は「リスクの塊」であり、見守っている大人は常に「次に何が起こるか」を予想しながら、リスク回避のために頭をめぐらす。こうして培われた能力は、介護でも応用できる。起こりうるリスクに対しては、最悪の事態を想定して最大の備えをする。リスクが実際に起きた場合は、ポジティブにとらえて決してあきらめない。
ライフで苦労をしている人がワークからも逃げない中で、高密度な働き方が実現でき、市場価値も高まる。また、ライフ体験が豊富な人ほど、相手に合わせるマネジメントができる。日頃から、乳幼児やお年寄りに根気強く接している経験が活きるのだ。子育てや介護は「いい管理職」になるための訓練だと思う。
一方で、制約がない働き方をしている人は、24時間、365日働いて当たり前と考えているので、部下のマネジメントで失敗しやすい。自分に合わせろという姿勢で、部下のモチベーションを低下させてしまうからだ。「無制約社員」とは「無理な精神論で厄禍を招く社員」の略語だと思う。
筆者は、仕事で培った知力・体力・精神力・情報収集力・人間関係構築力を駆使するとともに、自分ひとりで抱え込まないで、堂々と人に頼れば、育児や介護と仕事の両立は必ず乗り越えられると思う。
トマトの栽培中、極力水を与えないなど、負荷をかけると、小さく甘みの強いフルーツトマトができる。稀少価値があるため、市場価値は高い。ワークにもライフにも真摯に向き合う姿勢を持つ「制約社員」とは、成功が約束された社員の略語だ、と思う。
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