パラ取材で4歳息子と2週間離れる
東京パラリンピックが開幕した。
初めてのパラリンピック取材は2010年の冬季バンクーバー大会で、色々な競技をはじめて観戦して、その面白さと迫力に魅了され、2012年のロンドンパラリンピックも取材。
その後も、取材のお誘いをいただくもなんやかんやありまして(なにがあったんや)、2016年のリオパラリンピックの時は、息子を妊娠中で取材できず。
おなかにいた、息子は早いもんで4歳になりました。
五輪の東京開催が決まった時、取材のお誘いをいただいたので
「パラリンピックの取材行っていいかな?2週間あるけど」と聞くと、
「いいよ!」と渋る様子は一ミリもなく答えてくれた夫。
ほんまに?できるん?いや、ご飯も炊いたことないし、ご飯一切作られへんやん。育児も家事もできるんか?!と思ったけど、
やってくれるというんやから、感謝感激あめあられというしかない。
いつもは夫が単身赴任中なので、私が仕事をしながらワンオペ育児をしているが、今回は2週間、夫が、私に代わりテレワークをしながらワンオペ育児をしてくれる。
何度か不安になり確認したけれど「大丈夫っしょ」という。
いつもは、私の話をあまり聞いておらず、「だからいうたやん」と、もめごとになるんやけれど、「あまり深く考えない」という、夫の長所のおかげで2週間、仕事に専念できる。ほめなさい。
会う人にパラの取材で家をあけるというと、「パラの期間中、子供はどうするの?」という話になり、夫がテレワークしてくれるんでというと、大半の男の人から
「旦那さん、かわいそう。大変やん」(私はいつもやっとるわい)
「家族を犠牲にしていくんだから・・・頑張らんとね」(旦那が2週間出張で東京行ったら、おんなじこと言うんかい)
「子供と離れてさみしくないの」(さみしいにきまっとるやろ)
と言われ、( )カッコの中の言葉を心の中でつぶやけるぐらい、大人の女になりました。
一方、女性からは
「男にも、ワンオペの大変さを分かってもらったほうがいいな」
「旦那さん、夜ご飯は作らんと買うんやろ。それなら楽やん!」
「女性も自由に仕事せな」
などと応援のメッセージをもらい、せやろー!状態。
いや、もちろん、男性でも応援してくれる方はいます。
息子が生まれてから、一日たりとも離れたことがないので、パラリンピックが近づくたびに、不安はますばかり。
息子には、1か月前から、「ママはパラリンピックの取材で2週間家にいない」ことを説明することに。
最初に言った日は「いやや、さぶしい(寂しい)」と泣いたので、「しまった、言うの早すぎたかも」と思ったけれど、「まだ、行かんよ」というと、納得したみたいで、「何回寝たらいくの?」と。
一か月前から、愛しさと、切なさと、心強さとーと、篠原涼子状態でした。
でも、私の仕事は人の話を聞いて書くことが仕事。
息子にはちゃんと理解してもらいたいので、パラリンピックの説明と、アスリート、競技の紹介を始めると、興味津々な様子。
ゴールボールは
「目が見えない代わりに、耳でボールの中の音を聞いて、ボールをゴールに入れて点をとったり、守ったりするんやで」などと説明すると、「すごいね」と興味を持って話を聞いてくれました。
2日目には、パラリンピック取材の先駆者である清水一二さんの「パラリンピック・アスリート」の本を見ながら、夫に「足がなくても、早く走るんやで」と説明するように。
ただ、私が2週間いなくなるということは、分ってるような、分かっていないような・・・という感じ。
ところが、幼稚園の先生から
「パラリンピックでお仕事されるんですね。パラリンピックのことと、ママはいないけど、パパがテレワークするって教えてくれました」と言われ、息子なりにいろいろと理解してるんやと驚かされると同時に、そんなに理解してるなんて、家で夫ともめてることも言われてるかもしれんと心配に。
息子が理解してくれているのに、おかんが、いつまでも不安に思っていたらあかんなと。
お別れの朝
寝るときに「朝、勝手にいかないで」というので、朝起こすと、すでに、しんみりモードで泣きかけ・・・。どこに行くにもついてきて、足に抱きついてくるので、そのたびにハグ。泣きそうになる私(泣いたらあかんー、人生泣かずに、これなめて~)。
「愛してる。大丈夫だからね」と息子が泣きながら言ってきて、なんか今まで感じたことのない胸が痛くて、ぎゅっと締め付けられる感情に押しつぶされそうになりました。こんな感情、はじめて。
「ママも愛してるで。離れていても、毎日元気で楽しく過ごせるように、お祈りしてるからな」というのが精いっぱいでした。
バイバイするとき、息子は「ママーさぶしい(寂しい)よー」と、ギャンギャン泣いていたけれど、ずっといてやることもできず、笑顔で別れてからも、心が晴れず。5分後に、心配で夫に「息子は大丈夫?」とメールすると「泣き止んで、テレビ見てるで」と返ってきました。泣き止んだんかーい。
息子の心の中も、いろいろな感情でざわついてるのかもしれんけど、息子も、私も、夫も、この2週間で、色々と感じたり、成長したりするんやろうな。夫はご飯が炊けるようになっているだろうか(期待)。
息子が寂しがらないようにと、14日分のお手紙を書きました。
それと、毎日、ちょっとしたおもちゃが当たるガラガラ抽選会の準備。ダイソーで売っていた、ビンゴ。14までの番号をかごの中に入れて、14日分の小袋を作りました。
息子は抽選するのが嬉しいみたいで、幼稚園から戻って、真っ先に手紙を読んで抽選をしてるそう。
離れて2日目までは、テレビ電話をすると、「ママ〜」と泣いていた息子も、3日目にして、電話をしたら「いま、ゲームしてるから」と電話切りたそう・・・。
おかん、さぶしい!
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