薬局にて学んだこと16 胃気を通す
夏の暑い時期に、朝起きたら首が痛い、よく言われる「寝違え」を起こすことがあります。この原因は胃で、冷たいものの飲食のし過ぎで、胃が冷えてしまい、そのせいで首が硬くなり痛みます。冷たいものの飲食を控えれば、胃の冷えも首の痛みも数日で治ります。でも、そうではない気分的な鬱(うつ)が原因となる胃の詰まりもあります。
胃の詰まりがこうじて鬱病になってしまうと、首が硬く頭もひどく重くなって、まともな考えができなくなってしまいます。そこまでいかなくても、鬱状態は私たちがよく経験することです。鬱状態になるこころの原因がわかれば、まだ対処のしかたもわかるのですが、自分が鬱に陥っていることすら気がつかなくて、ましてやその原因もわからないことが往々にしてあります。
欝状態になると、なんだか気分が良くない、気力が出てこない、食べ物が美味しくなかったり過剰に食べてしまう、などの症状を出してきます。これをお加持で治す場合は、胃の経絡(けいらく)を下げます。胃経は、左図のように、頭から首、乳首を通り、腹部や足の前面を流れています。胃経が通ると、胃や腸が動き空腹感が出てきます。
胃経が乳首の上を通るのは、乳飲み子をもつ母親が、赤ちゃんに授乳させるとお腹が空くということを聞き、うまくできているなと思います。赤ちゃんが乳首を吸うことにより、母親は胃の通りが良くなり腸も動きます。おまけに、乳首を吸うことは、産後の母親の子宮の収縮を進めることになるそうです。昔の母親に更年期障害がなかったというのは、たくさんの子どもを生み育てることによって、授乳によっても胃の通りを促し、子宮の機能を活かし、慈しみ育てることで母性本能を活かしていたからなのでしょう。
そして、胃は体のどこが悪くても重く滞ります。でも、欝状態や食べ過ぎが原因で胃が重い時は、私たちは頭や胃にある気を下げるイメージで、乳首を引っぱったり、ヘソ斜め下の水道(すいどう)というツボに手を当てたり、ひざ下の足三里(あしさんり)をもんだり叩いたりすることで軽くすることができます。
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