
Photo by
sono_note
つらいとき、たった一曲あるだけで
22年前、父を看取った後、私は何ヶ月も起きられなくなった。
天井を見つめるだけの日々を過ごしていたとき、FM802から流れてきたのが『サヨナラCOLOR』だった。
現在はハナレグミとして活動している永積タカシが、バンド「SUPER BUTTER DOG」時代に作った曲だ。
「サヨナラからはじまることがたくさんあるんだよ」
永積くんの染みる声で、この歌詞を繰り返し繰り返し何度も聴いた。少しずつ、父がもういないことや社会復帰への不安感が和らいでいった。「サヨナラからはじまることが私にもあるのかも……」そう思えたのだ。
歌詞は少ない文字で表現するからこそ、聞き手が自由に解釈できる余白も大きい。その時の自分に勝手にぴったりフィットさせられる。余計なことは言わず、そっと励ましてくれるのもいい。
あれから20年以上、私の大小さまざまなサヨナラにフィットし続けている『サヨナラCOLOR』。そんな包容力抜群のお守りを持っていると、サヨナラがある人生も豊かじゃないかと思えてくる。
本記事は、「さとゆみビジネスライティングゼミ」の課題をリライトしたものです。