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ダメダメヘルパーが見つけたご利用者のやる気スイッチの入れ方

入浴介助拒否

「イヤだって言ってるでしょっ!」
「さわるんじゃないよ!」
「あっちへ行ってよ!!」

もう十数年も前のことです。
未熟なヘルパーの私は、ご利用者の入浴介助のとき、激しくどなられ、
何度も介護拒否にあいました。

「とにかくお風呂に入ってもらうのが仕事」
その一心でした。

拒否されてもしつこく
「順番だから入りましょう」
「入ると気持ちいいですよ」
言ってみるけど効果なし。

今考えてみると当たり前だと気づきます。
ご利用者のことを何も考えていなかった。

イヤなものはイヤなんです。

私だって、朝っぱらから否応なしに
「つべこべ言わずにお風呂に入れ」
と言われれば激怒します。

考えるスキルが欠けていました。

輩の手口

でも、世の中にはイヤなことをつべこべ言わさず
実行させてしまう輩がいます。

オレオレ詐欺。

面と向かって、息子に
「母さん、困ったことが起きたから500万出して」
と言われてもそう簡単には渡しません。

「何やっているの!冗談じゃない。
 警察や弁護士さんに相談が先よ!」
とお金を払わずに解決する方法を探すでしょう。

だって、500万円なんて大金払いたくないですから。

それなのにオレオレ詐欺グループは、
電話1本で電話の相手を動かしてしまう。

高齢者の心理と行動について、徹底的に調べて考えぬいたテクニックです。

心を動かす言葉

どんな言葉が人の心を動かし、行動させるのか。

人を行動させるには、まず心を動かさないと体が動きません。
そして、心を動かすためには、言葉かけが重要です。

その言葉かけも相手によって響きかたが大きく変わります。
相手の性格、状況、価値観…。

オレオレ詐欺はターゲットを絞るのか、手あたり次第なのかわかりませんが、ピタッと相手の弱いところを狙って声をかけてくるのです。

高齢者が心を動かすポイントをしっかり把握し、今すぐ行動しなければと
必要性、緊急性を植え付けて行動させてしまう。

不特定多数をねらってかける声掛けにも関わらず、一刻も早く振り込まなければと思い込ませる言葉の威力。

不謹慎だけど、人を行動させるという点では考えさせられます。

介護拒否にあった私は、ご利用者の情報を細かく知っていました。
ちゃんと考えればもっと状況にあわせた心を動かす声掛けができたはずなのです。

相手が動くポイントはどこなのか。
拒否している理由は何なのか。
もっともっと相手のことを考えて観察する必要がありました。

これは、介護の場面だけではありません。
子育てにしても、他の仕事にしても、人を相手にするときに大切です。

もし、あなたが相手を行動させようと思うのなら、まず、相手の性格や
状況、価値観などをしっかり把握しましょう。

そのうえで、どんな言葉を掛けたら、相手の心が動くのか考えるのです。

相手に合わせた言葉かけ

ダメダメヘルパーだった私も、徐々に余裕ができてご利用者ごとに掛ける言葉を考えられるようになっていきました。

VIP待遇が好きなAさんには
「今日はAさんのために、特別に良い香りの入浴剤をご用意したので、
 一番に入りませんか?」
特別感をアピールしながら声を掛けます。

寒がりのBさんには
「あったかいお風呂にゆっくり入って、足元からぽっかぽっかになりませんか?」
ニッコリ笑顔でお誘いすると、Bさんもニッコリ。

声をかけるタイミングも大切です。
相手が警戒しないように、さりげなく笑顔で、優しく声をかける。

時には、演技も必要です。

おかげで、岩のように動かなかった方も
「しかたがないな。入るか」
と腰を上げて動いてくださるようになりました。

まとめ

誰でも、自分のために言ってくれる言葉と事務的、機械的な言葉との違いは
感じとります。

あなたのその言葉かけは、本当に相手のことを思いやっての言葉ですか?

相手を思ってかける言葉は、相手の心を動かします。
相手の心が動けば、やる気スイッチが入って行動につながるのです。

言葉の持つ力は偉大ですね。

                   Photo by Alex Bertha on Unsplash


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