10年間お世話になっている美容師さん

私が下北沢のとあるサロンに通い始めてから、10年が経ちます。

この美容師さんに出会った頃、私はロングヘアで、毛先がパッションピンクの大学生でした。
しかし、彼に出会って以降、私はずっとショートヘアです。

髪型がダンスの演出の一部だと思っている私にとって、美容師さんの存在はとても大切です。

特にショートカットとヘアカラーが得意なこのサロンでは、毎回私の曖昧な注文でも、ダンスで映えるスタイルを見事に作り上げてくれます。

僕でなきゃ見逃しちゃうぐらい自然なカット

「髪切った？」と言われることはほとんどありません。でも、「似合うね！」とはよく言われます。それこそが、この美容師さんの技術の証。
髪をいつ切ったかわからないぐらい自然な仕上がりで、動いたときに美しく見えるように計算されてカットしてくださっているのです。

毛量が多い&超ストレートの髪質であることが長年の悩みで、どのサロンに行っても難しい髪質だねと言われて落ち込むので、もう髪を切りに行くのが大嫌いでした。

ところが、この美容師さんは「こんなにショートカットが似合う髪はないよ！」と、私の髪質に合わせた絶妙なレイヤーを入れ、軽やかに動くスタイルに仕上げてくださるのです。カットの度に、新しい表情を引き出してくれる技術には驚かされます。そして、この言葉に何度救われたことか…これが、私が10年間、この美容師さんが大好きな理由の一つです。

照明まで計算されたヘアカラー

先日、PV撮影のためにヘアカラーをお願いしました。今後のポートフォリオとして使用する大事な撮影だったので、絶対に素敵な紫っぽい髪色で踊りたい！と強く思っていました。

そのお話をしたところ、美容師さんは撮影日から逆算し、当日の照明を考慮したカラーを提案してくれました。

染めた直後はちょっと濃いのでは？！と不安になりましたが、本番の日には最高の、超良い色合いになっていました。
「今」の仕上がりだけでなく、「本番」のベストな状態を見据えて施術してくれる——そんな心配りに、私はいつも感動しています。

私の深層心理を読むようなカット

私は一度も「このダンサーみたいにしたい」とリクエストしたことがありません。
でも、仕上がった髪型は、いつも、私が尊敬するダンサーにどこか似ています。
まるで、私の深層心理を読まれているかのような気持ちになります。たとえ言葉で伝えなくても、動きや雰囲気、髪質を見て、私に最も合うスタイルを導き出してくれるのです。

刺激を受けたのはカットだけではなく…

かつて、練習が思うようにできず、自信をなくしていた時期がありました。美容師さんは、いつも手際よく、完璧にカットを仕上げるので、私は「元からセンスがあったんですよね？」と何気なく尋ねました。

すると、美容師さんは爽やかな笑顔で、

「もともと不器用だったし、たくさん練習してできるようになったよ」
と教えてくれました。

意外な答えにびっくり。ずっと天性の才能だと思っていたけれど、裏には膨大な努力があったのです。
どんなリクエストにも答えてくれる引き出しの多さと、それを形にする質が高いかつ最新のカットの技術をずっと提供できるのは、練習と試行錯誤を重ねた人だからできることだったのか！と納得しました。

私が好きな美容師さんの言葉があります。それは、
「目標を決めたら、ゴールに向かって一直線に進め」
という言葉です。

（自分でリクエストしておきながら）髪型が変わることに不安な気持ちが募っていき「今ならまだ引き返せるんじゃないか…」とばかり考えていた時にかけてもらった一言です。

今、私はオーディションに向けて長期間練習をしていて、
一時的に「本当にこれで良かったのだろうか」と迷いが出ることもありますが、この時に教えてもらった
「一度走り出したことは、後悔しないように引き返すんじゃなくて、どうやって成功にするかを全力で考えなさい」
という言葉を思い出して頑張ることができています。

ヘアカットをしてもらうたびに、その姿勢に刺激を受け、私も努力し続けよう！と改めて思います。

これからも頼りにしたい存在

10年の間に、私のダンスのスタイルも、出演する舞台のジャンルも少しずつ変わってきました。それでも、美容師さんはいつも私に最適な髪型を提案し続けてくれます。髪を通して私の成長を見守ってくれているような、そんな特別な存在です。

ある時、「前髪作ってもいいかもね」と言われ、仕上がった髪型は、まさに次の私の踊りを意識したものでした。まるで私の成長や挑戦を理解してくれているかのように、髪型が変化していくのです。

これからも舞台に立ち続ける限り、この美容師さんの手を借りて、最高の自分を表現し続けたい。そして、いつか私のダンスを通して、この美容師さんに喜んでもらえるような瞬間を作れたらいいなと思っています。