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<第35話>外務省をぶっ壊す!~私、美賀市議会議員選挙に出ます!~

月曜日~金曜日更新
 この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

<第35話>
「どんな落とし前をつけるんですか?」
背後から男の声が聞えた。
ハッと我に返り、声のした方向に黒目が先に動く。
同時に3時の方向から1人、9時の方向から2人、水色半袖、濃紺の凸凹デブの警官がぬーっと現れ脇を固められた。
いつの間にか私の車の横にはパトカーが停車している。
そして振り向いた真後ろ正面には私服のアイツがいた。
よく見れば、出っ歯でガリ股、県民が選ぶ警察官=野鳥の会会員だ。


「はぁ?また?」
「何?!」とアゴをしゃくった。
「不審者がいるって通報があったものですから」
「ウソ言え!」吐き捨てるようにいい、睨みつける。
こんなところに何時間いたって誰にも迷惑なんか掛からない。
通報なんかする民家もない。
「あんた、私の事つけてるでしょ?!」
とうとう野鳥の会会員オマワリに問い質してみた。
返事もないが、両脇の暑苦しい水色半袖・濃紺の凸凹デブも微動だにしない。
「だから何なのよ!」片足を貧乏ゆすりして聞く。
イライラしてこいつらを押しのけでもしたら「転び公妨」で一貫の終わりだ!
「さっき叫んでおられましたね?何と仰ってたんですか?」
「知らんわよ!そんなのどうだって良いじゃないの!私、忙しいんだから!」


凸凹デブが、私が体の向きを変えるたびに無言で行く手を阻んできた。
「不退去罪で警察呼びますよ!」と言いかけて止める。
私を取り囲んでゆく手をふさいでいるこの連中がまさに警察ではないか。
凸凹デブで出来たアーチダムのごとき壁は押してもビクともしない。
ぐぬぬと観念して様子をみる。
そういえば、支那領事館前にいる警官もこんな感じだった。
「慌てるな!」と自分に言い聞かせる。
「で、何なのですか?」キャリアウーマン風に口調を変えて臨む。
立ちはだかる凸凹デブは無表情だ。
「いや~大きなズダ袋を路上に置いて叫んでる人がいたのでね」
「あー。」
「ここは不法投棄も多いですからね」


この男はダイサギでも見物してりゃいいのに、なんで私を監視するのか?
「ふーん、何も捨ててないわよ」
本当に捨ててないのだ。
「このズダ袋には何が入ってるんですか?」
「何も入ってないわよ!」
「何かヤバいもん入ってない?」と凸凹の凸が言う。
「はあ??」
明らかに何か探り出そうとしている。
「あなたよく名倉署に来てますね」
「それは道路使用許可を貰いに行ってるだけ!」
これまで路上街宣をやる時はいつもパトカーに向けて「お疲れさまです。三重県の治安を守ってくれてありがとうございます!」と労う声を掛けてきたのに、飼い犬に手を噛まれるとはこの事か!
「所持品検査でもしたい訳? 令状あんの?」
四人の警官が一斉にとぼけた顔を見せる。
後で自分たちが訴えられないように、聞えないフリをしているのだ。
「君、誰かが消えたらどうなるとか、そういう物騒な話しをしてるって聞いたけど」
「知らんがな。誰も消えてないわよ!私の周りで!」
一瞬、行方知れずになっているDV井戸の顔が浮かんだが、面倒なのでだまっておく。
変に疑われて逮捕なんかされた日にゃ、代表に3000万円も弁償するハメになってしまう。


「あれ、親指どうされたんですか?」
「朝、ノコギリで南天の木の枝を切ってたら切ったの!」
「・・・ノコギリが自宅にあるんですね?」
野鳥の会会員オマワリがねちっこく言う。
「ノコギリくらいあるわよ!」
「そんな事より、三重県にも拉致被害者が何人もいるんだから、そっちを捜査しなさいよ!」
これ以上、野鳥の会会員オマワリの駆け引きに付き合ってる暇はない。
外務省の体たらくにもムカつくが、拉致に関しては初期の段階で警察がもっと積極的に動くべきではなかったのか?!


「えあーあー、それは、そういう指示があれば捜査しますっ!」
つまんない返事が返ってきたのでイジメてやる。
「拉致被害者だって捜索願いくらい出てるんでしょう?三重県の朝鮮総連くらい家宅捜査したらいいじゃないの!!」
「まあ、だからね、そういう指示があればやりますよぉっ!」
さっきまでの強気な態度から一転して急に野鳥の会会員オマワリが弱腰になり出した。
北朝鮮や拉致事件の話しを振られるのが相当嫌みたいだ。
どうせ警察とパチンコの癒着を批判をされたり、「税金泥棒!」と罵倒されるのが嫌なのだ。


ちっとも国民主権や国民の安心安全な生活を守る気概が感じられない。
「もういいでしょ!ほな、さいなら~!」と一瞬の隙を突いて、野鳥の会会員オマワリと凸凹デブで出来た壁の割れ目から抜け出した。
やはりこの国にはアンタッチャブルな闇があるのだと確信するに至った。

つづく。

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