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<第30話>外務省をぶっ壊す!~私、美賀市議会議員選挙に出ます!~

月曜日~金曜日更新
 この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

<第30話>
香料の効いたベーコンエッグマフィンを齧り、薄い味のコーヒーを飲んでほっこりする。
地球に優しい取り組みは人間に厳しい。
一晩中バスの座席にいた私にとってマックの硬い椅子は、私の尻に更なる苦痛を与える。

ガランとした店内、カウンターのクルーだけが忙しくもないのにマニュアル通りに、せわしないフリをしている。
客のいない時間帯だが、珍しく男性がいた。
私はあと数日で公人となる。


立候補すれば、顔、氏名はもちろんの事、住所や学歴や電話番号も全国的に公にされる。
その男性はカツラを被っていた。
べローンとしたナイロンの毛束のやつで茶髪で年齢に不相応なサーファーチックな髪型のを被っており、ハゲを隠すというよりむしろ結果カミングアウトである。
公人となり堂々と県民に民意を問う私と、裏技的なカツラの使い方で、遭遇する人々に評価を委ねる男。
潔さで勝つのはどっちか?
もう闘いの火ぶたは切られている。

ハッシュドポテトを一口食べる。ふと窓の外を見る。
カツラを凝視する私を凝視する男がいた。
「なんだストーカーかよ」
チラチラこっちを見てる。
電話をしてる訳でもない。メモも取ってない。ただチラチラ見てるだけだ。
ポツンと駐車してるクラウンはハゲの車かこの男の車か。
とぼけた表情が怪しい。
なんだかやけに姿勢が良い。
スカッとした短髪。
どっかで見た事ある。
どっかで見た事・・・ある。
ポロシャツにチノパン。
そして・・・ボディバッグ!
「え、警察? 」
「え?刑事?」
「え?公安?」
「え?何?え?なんで県民が選ぶ警察官=野鳥の会会員オマワリがいる?」
起き抜けの脳にカフェインが幻覚を見せているのだろうか?
否、そうではない。
あの感じ・・・。あの感じとそっくりだ!


名古屋の支那領事館に抗議文を投函してガストに向かっていると、道路のところどころに立ってるやたら姿勢の良いオッサンたち。
腕を組んでたり、ボケーっと突っ立ってたり。
そう、必ずボディバックを斜めに掛けている。
すっとぼけた表情も同じだ。
これは都内でもそう。
警官だってバレバレ。
信号待ちをしていたら制服着た奴らが知らぬ間にヌーっと背後にいたりする。
名古屋でも、四日市でも。


下手すれば行く手を阻まれる。
もっと下手すれば転び公妨で持っていかれる。
間違いない!
三重県警のオマワリだ。
しかし、なんでやーーー!?
あいつ、バードウォッチングが趣味じゃないのか?
何日か前、ダイサギ見てたよねえ?野鳥の会会員だったよねえ?
定年退職したんじゃないの?非番なの?
有給の消化なの?
マックの中に鳥なんかいねーよ!
はあ?・・・はあ?
どういう事?え?どういう事?
あのバードウォッチングは、実は私を張ってた?
えーー、私、何かしたの~?

つづく。


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