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【カーボンニュートラル推進企業紹介①】日本フルハーフ株式会社~ESGを経営の軸に、マテリアリティの特定から脱炭素にフォーカス~

 厚木市内の脱炭素の取り組みを進めている企業に、どのように「脱炭素への挑戦」をしているかをインタビューしました。取り組む理由やその具体的な進め方、これから取り組む企業へのメッセージなど、1社ずつご紹介したいと思います。
1社目は、バンボデー・トレーラ・コンテナなど、各種輸送用機器の製造・販売を行っている日本フルハーフ株式会社です。

(今回お話を伺った佐々木取締役(左)と、環境保全室の小澤室長(右))

脱炭素の枠組みに乗るかどうかがステークホルダーに選ばれるかの分かれ道

 当社は元々省エネや環境法対応を主眼に環境問題に取り組んでいました。しかし、ここ数年でのサステナビリティの潮流の強まりを受け、SDGsに代表される社会課題に経営としてどう対応していくかという問題意識の下に、更なるマテリアリティ(重要課題)を設定しました。その一つとして気候変動を取り上げ、脱炭素の取り組みを開始した経緯があります。
 親会社が積極的に推進しているというのもありますが、当社側からも、サプライヤーに環境配慮型商品の促進をお願いすることもあります。意識的に環境配慮型商品を取り入れることで、先進的な世界の動きに順応してゆくことが可能になりますし、当社の働きかけによって、サプライヤー自身が脱炭素への取り組みを始める等、相乗効果は大きいと考えています。実際、お客様からCDPアンケート*の回答を求められる機会も増えています。この脱炭素の枠組みに乗るかどうかがステークホルダーに選ばれるかの分岐点となる為、経営的には脱炭素をやらない選択肢はありませんでした。
*英国の慈善団体が管理するNGO(非政府組織)であるCDPが、企業の環境に関する取組状況を調査するために企業に回答を求める質問書

まずは実行可能な活動から~フォークリフトと工具の電化~

 このようにして始まった当社の脱炭素の取り組みですが、それらを進める上でまず行ったのは実績値の把握です。電気、灯油や重油等がどこでどれだけ使われていて、どのくらいCO2を排出しているのかを確認しました。実績値を把握したあとは、実行可能な活動から具体的な取り組みを始めました。照明のLED化など地道に取り組んでいることは他にもありますが、ここではフォークリフトと工具の電動化についてご紹介します。
 フォークリフトはグループで保有している100台の内70台がいまだ化石燃料を使っていますが(2022年12月インタビュー時点)、更新のタイミングで順次電動化を進めています。この取り組みを選んだ理由は、ずばりコストメリットが最大の理由です。以前から電動フォークリフトは導入を検討していたのですがコストが高く実現できていませんでした。しかし、4~5年前から化石燃料から電気にかえたほうが初期投資は高いものの、3年ほどで回収できるようになったのです。
工具の電動化は毎年少しずつ進めています。導入時、脱炭素は現場の実態に合わないのではないかという懸念がありましたが、実行してみると、安全性など現場で働く従業員にとっても身近で理解しやすい活動であったため、順調に啓蒙が進められています。
 今後の取り組みについては、これまでの活動を続けた結果としての成行きと目標値のギャップを把握していきたいと考えています。もし、成行きで目標にたどり着かないということがあれば、次の更なる具体的な施策を検討しなければなりません。会社全体で取り組みを進めるにあたっては、自分たちのCO2排出量を把握してもらうため社内エネルギー消費の見える化を実施し、また社員の幅広い層に脱炭素に興味をもってもらうため、まずは各室・部の長への勉強会を開くことを行っています。

(電動フォークリフト)


(電動工具)

最初の一歩は登りやすい階段で

 ニュースで並んでいるような言葉を聞くと、「『2030年までに46%削減』なんてハードルが高すぎる…」としり込みしてしまうかもしれませんが、まずは現実的にできるところから始めるので良いと思います。最初の一歩を大きな壁にするのではなく、ハードルを低く、登りやすい階段にすることが大切だと実感しています!

出所:日本フルハーフ株式会社へのインタビューを基に作成

文責:株式会社日本総合研究所 コンサルタント/研究員 吉村早紀




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