SAPIX落ちこぼれの末路 ~受験失敗した当人と子供のSAPIXに全力投資したブログを読み返そう~
昨今のTwitterを賑わせるのは子供の受験に身の丈以上の金を注ぎ込む親。教育への投資とはかくも無情なものなのか。
少なくとも私には無情だった。それが今の底辺私大生のこの有様である。
SAPIXは学年が上がるにつれ授業料も跳ね上がり、私が通っていた頃の6年次の年間のお月謝は130万といったところである。
ではいったいこんな授業料を出せる家庭はどういう層なのか。
近くの私立小学校に通っていた人間はほとんどが放課後に制服のまま来ており、私立小:公立小の人数比にして6:4~7:3程度だった印象だった。
私立から小学校に通わせる親の財力は当然盤石なもんであるが、公立小家庭はどうか。これはなかなかピンキリであって、私の狭い交友関係の話になってしまうが、見るからに裕福そうな者もいれば建て替え間近のボロ団地にすんでいる者もいた。(ボロ団地の彼は意思疎通にやや難がある所謂グレーゾーンであったが、ギフテッドのお陰か学力は図抜けており県内トップクラスの進学校へ行った。)
珍しい例かもしれないが、やはり何奴もSAPIXに通わせられるバイタリティがあるもので、成績上位が私立小生徒ばかりだとかそんなことは無かった。ただ、私立公立の区別なくSAPIXに通わせる家庭のボリューム層はだいたい財力に余裕があったものだ。
環境としてはこんなものである。小4から通っていた私は古参の部類だが、この頃のカリキュラムは暗記ゲーであり苦労することも無い。
問題は小5からの化学物理数学の計算であって、これらが苦手な者どもは以降、一気に増えるレッスン制クラスの下位層で中学受験終了まで居座ることになる。
SAPIXの輝かしい進学実績はαやα2のような上位常連組に支えられており、それ未満はSAPIXの養分としてチューターも多く講師にあてがわれ、下の下、A~Cクラスの面々は顔馴染みと化した下位層固定組と勉強するのである。
それでもなんとか偏差値60ちょっとの自称進に漕ぎ着けた私は下位層組では成功した方であった。
自己を肯定する要素をもう1つ挙げると、SAPIXに通う者の下位レッスン組からは親に見切りをつけられたか、あるいは金銭状況が逼迫したかで定期的に『脱SAPI者(SAPIXを辞め他の学習塾に転向すること)』がいるのだが、下位レッスン常連組は鈍足石油タンカーを強力な空母で護送するが如く重厚な親の金銭的精神的庇護の下、終ぞ小6の2月まで『脱SAPI』しなかった"選ばれし"者達であることは、語っておく必要がある。そして前述の『脱SAPI者』が他塾に行き成功した話は耳にしたことが無い。子の頭がどんなに悪かろうがSAPIXはSAPIXで強力なのだ。
中学受験を描いたドラマ『二月の勝者』の名言に「中学受験は父親の経済力と母親の狂気」というのがあるが、上位層へ向けた言葉のみならずこうした下位層常連組にも同じことが言えよう。
さて、この辺で「車や家を売って子供の中学受験にペイした親」のブログを改めて見返そう。
かつてネトゲで数十人率いた妻と子ども達の中学受験
https://choconta.hatenablog.com/entry/2020/02/22/103050
裕福でない家庭の成功例を知っている手前頭ごなしには否定しないが、小学生高学年というのは思った以上に大人の感情や考えに敏感な生き物である。
家は根城であり、車は生活の一部。そこで過ごした時間や思い出ともオサラバしなければならない、しかもその原因が自分であるとしたら精神的な負担は計り知れない。この目的は否定しないが手段には疑問符がつく。
そのブログの続編では教育格差について語っていたが、文化資本と学力の結びつきは中学受験で自称進学校程度では到底語るに恥ずかしいので容赦されたし。
とは言いつつも、裏を返せば最終学歴底辺私大の僕みたいな人間でも3年間通わせれば偏差値60の自称進に辿り着くことができた事実は重ねてお伝えしておく。
つづかない(多分)