お名前様
ひさしぶりに化粧品カウンターで買い物をした。もう何年も行っていなかったがユーザー登録はしているブランドだ。
美容部員さんが言う。
『登録状況を確認いたしますのでお名前様をいただけますか』
お名前様…
名前はとても大切だ。
古くは 捨て だのなんだのわざとどうでもいい名前をつけて、元服するまで命をとられないようにした印だ。
ジブリの映画でも、名前をとられてしまうシーンが有名だ。
芸能人だと能年玲奈ちゃんが独立にあたり所属していた事務所から名前を取られてしまったことが、団体が「名前」を持つ、または取るという事柄があるなんてと衝撃を与えた(世間は知らない、わたしに与えた)。
名前とはなんだ。
ちなみにわたしは旧姓の耳触りがあまり好きではなかったので結婚してからの名前の方が好きだ。
変えられることもあるけれど取られてはいけない大切なもの、それに「様」までつけてくれる。行き届いた社員教育である。
とはその場では思わずに、変な敬語だよって苦笑いしながら「お名前様」を用紙に書かせて頂いたのでございました。
美容部員さんのためを思うとそれ変ですよと言いたかったけれど老婆心が過ぎるのも嫌がられるかと思い、黙って書きました。
本当の老婆になったら言えるかな。
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