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歯と幸福

ひとの歯については何の感想も持たない。
ステインが着いている、歯石がたまっている。
それらを見て、自分の歯のことを思う。
そろそろ歯医者に行かなきゃ、と。

人それぞれの生活があり、子育てに忙しすぎてはみがきは最低限しかできない人や、
どうしてもタバコやコーヒーがやめられない人がいる。
それについて何も思うところはない。

小さな頃、わたしの前歯はややすきっ歯で、前方に少し出ていた。家族の誰も気にしなかったが、わたしは自分の歯並びが嫌いで、写真を撮られるときはいつも口を閉じるように心がけていた。

運良く歯列矯正をさせてもらうことになり、結果的に歯を4本抜いて口の筋を一本切除することとなった。理想の歯並びに近づけるので、痛みは喜んで耐えた。

美容整形の手術を受ける人はナチュラルな美人に対抗しているのではなく、自分の過去の顔と闘っているのだと書いた人がいて、深く同意した。

わたしも同じく人の歯並びや歯の見栄えはまったく気にならない。ただ自分の歯が過去とどう違うかだけ。
噛み合わせや磨きやすさも変わるので、歯列矯正はしたい人は絶対にしてほしいけれど。

すきっ歯がとても好まれる国があるらしい。
歯の隙間から幸福が運ばれるそうだ。
無理に隙間を開けることはできるんだろうか。
隙間のない、みっちりした歯の人は口元を隠して写真にうつるんだろうか。
人の歯のことはどうでもいいはずなのに、その国の女の子のことを勝手にいろいろと考えている。

#日記 的な話

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