「花人間」体験
「プレゼントはなにがいい?」
しばらく前に、あるカップルが見せてくれた画像。2人がお花を頭にのせて写っている。花人間、という。
これを、したい。
すぐ忘れてしまうので、スマホのメモに残しておいた。
「花人間に、なりたい」
たぶん、大げさではなく、何度か死にかけたという人は珍しくないはずだ。
わたしもそんな体験をしているから、いつか突然人生が終わると思って生きている。
きれいに撮ってもらって、なにかあったら最後の写真として使ってもらおう。
そんなことばかり考えていて、お店について
「どのお花が好きですか?」
「どんな色が好きですか?」
「どんなメイクにしたい、とかありますか?」
そう聞かれて、ショックだった。
終わることばかりで、花人間になることを考えていなかったことに気がついた。
せっかく連れてきてもらったのに…
メイクと、頭に花をのせていく工程を同時に行ってもらう。
スタッフさんと楽しく笑いながら、たくさんの人が持ち込んでくるだろう希望の方向や重さを考えていた。
メイクが終わり、撮影。
顔や目線の方向を指示されたように変え、体をひねり、手を顔に添える。
恥ずかしくて笑えてくる。
自分のリクエストでここにいるのに、おかしくてたまらない。
メイクの時と違って、能動的に自分を動かすから、考えている時間がない。
女同士でも
「笑顔かわいい!」
とカメラマンさんに言われるとくすぐったくて仕方がない。
たくさん撮ってもらった中から2枚を選んだ。シワが増え、頬がたるんだわたしがたくさん写っていた。
亡くなった祖母の頬にそっくりで、懐かしくなる。
祖母の頬をぽちゃぽちゃと触って
「もうええって」
と、たしなめられたこと、とか。
楽しい時間にしてくれたスタッフさんと、わたしはちゃんと会話できていただろうか。
非現実な時間に、つい真昼間から自分の中の自分と、ごにょごにょ話し込んでしまった気がする。
写真納品は二週間後。
おばあちゃん似の自分がレタッチされて、登録アカウントに届く。楽しみ。
(noteヘッダー画像は花人間さんwebサイトから借りました)