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父とサンバと宝塚

京阪神のお祭りや行事は京都なら祇園や五山送り火、大阪なら天神さんなどが歴史があって風流である。神戸っ子のわたしにはそれがうらやましく思える。

神戸のお祭りと言えば神戸まつりのサンバである。だんじりもあるじゃないかと地元の人なら言うだろう。あれは割と小さな地区単位で行われるので、大通りを封鎖して行われるサンバのほうが派手だ。

一度だけ、ビジター枠みたいなチームに参加したことがある。本当なら年中サンバの練習をして本格的で派手な衣装を着て踊るところを、数ヶ月の練習のみで簡易に参加できるのだ。
友達と必死で練習した。
まつりの当日はにぎやかで暑くて楽しかった。

父が神戸に暮らしはじめた1970年代初め、職場の人たちと宝塚歌劇から衣装を借りて、女もののドレスで父がサンバを踊っていたことが今回発覚した。

JRAで貰った派手な扇子をせわしなくパタパタさせ「細かったから入ってん」と笑いもせず言う。いつも文庫本片手につまらなさそうにしていたイメージの父のサンバ姿がわたしには想像できなくて、書く書くと言っている自分史をとにかく早く書いてと急かしておいた。

ただし自分史にああいうサンバのエピソードを書いてくれるかは疑問である。なのでエピソードゼロとしてわたしがここにこっそり書くことにした。

#祭り #エッセイ

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