映画『運命は踊る』
テルアビブのアパートで暮らすミハエルとダフナ夫妻のもとに、軍の役人が息子ヨナタンの戦死を知らせにやってくる。
一方、ヨナタンは戦う相手のいない前哨基地の検問所で、どこか間延びした時間を過ごしていた。(映画.comから)
イスラエル、テルアビブ。
シンプルでスタイリッシュなアパートで息子の訃報に翻弄される両親と、泥まみれで最悪に汚い戦場にいる息子との対比。
検問所のゲートをのんびりくぐる、ラクダ。
美と醜、生と死、正しいこととそうではないこと、あらゆる対比が完璧にスクリーンに切り取られる。
検問所でヨナタンがライフルと踊るシーンが美しかった。
運命という抗えないものに絶対に人は勝つことはできないのか。ここでの勝ち負けってなんだ。戦争は運命なのか。人が作り出した不幸のスパイラルの中から脱するにはどうすればいいのか。絶望を感じる。
怒りと悲しみの中、ハッパを吸って笑いあうのは情けない大人なのか。大人だからこそ悲劇に正面きって向かい合わず、ノックダウンされながらもラリって笑う…
情けなさがその人たちへの愛情に変わる。
運命は踊る、どうあがいても同じステップを踏まされる。だから今は、吸って笑おう、そして泣こう。どうせ運命のステップからは逃れられない。
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