京都早歩き そして姑と喋りまくり
夫の出張にひっついて帰省することにした。無駄に人が多い盆暮れ正月には帰省しないから、こうやってするっと帰れるときに帰る。
まずは京都。夫の地元である。昼間は一人で市内をぶらぶらすることに決めていたので、この化粧品屋さんに行って、あのギャラリーに行って、書店は2軒、映画館は1軒、映画をテーマにしたZINEを買おう、とグーグルマップにルートを登録していた。
四条で降りて、はしかた化粧品に行く。ここの化粧品をネットで年に数回買っているので、京都に行ったら追加で何本か要るものを買おうと決めていた。クリア。
そこから河原町三条方面へ。交通機関を使うには微妙な距離なので歩く。歩くにはやや距離があるけど、ひと駅乗るほどでもない距離。早歩きで歩くと、冷え込む天気予報に備えた厚着のわたしは汗をかく。魅力的な古着のお店を何軒も横目に歩いてたどり着いた目当てのギャラリーは閉店していた。閉業、とGoogleマップは告げる。一週間前はそうは書いていなかったし、展覧会のチラシも展覧会アプリに保存していたのに、アプリ内のチラシは消えていて、ギャラリーのサイトを前日に確認したわけでもないので、確実に準備不足だった。しかも姑との待ち合わせまでもうあと1時間ほどしかない。アウト。
悩んで、書店1軒(ミシマ社の本屋さん)と映画館(出町座)はあきらめて、恵文社一乗寺店に向かうことにした。恵文社は行ったことがあるがミシマ社の本屋さんは行ったことがなかったので、できればミシマ社の本屋さんに行きたかったが、そのあとの経路を考えると、選ばれたのは恵文社、だった。
三条から京阪で出町柳へ、そこでえいでんに乗り換える。関西に住んでいるときから何度も友達に会いに京都に来ていたが、叡山電鉄に乗るのは初めてだった。そんなわけで少し緊張する。勝手が違うといけないので降車する人の先頭に立たないように、わざとのっそりと席を立つ。降りるときにICカードをかざす。乗った時にピタパで改札を通れたのだから大丈夫なはずなのに、緊張する。
降りてしばらく歩くと毛糸のアブリルさんがあった。そうかここにあるんだ。東京の展示会で見ただけだったのでついお店に吸い込まれそうになるが、残念ながら時間がない。早足で恵文社さんに吸い込まれることにした。時計とにらめっこしながら本を選ぶ。詳しいことはわからないけどとにかく陳列が良い、気がする。街の大きな本屋さんでは買えないものを買おうと決めていたのと、行きの新幹線でアピエを読んでいたので、アピエの別の号を2冊買った。ここで5分遅刻決定である。
とんがった比叡山を眺めながら義理の実家こと義実家へ向かう。姑と会うのは4,5年ぶりだが、そんな年数を感じないほど自然に話が盛り上がる(とわたしは思っている)。彼女とわたしは似ている部分が多いからだ(とわたしは思っている)。薬が合わないから長年通っていた病院を変えた、あの医者はとんでもない医者だ、むかつく、ころしてやろうかと思ったとぶちまけた姑はスッキリした表情であった。お医者さんにも言い分があろうかとは思うが、転院して表情が若返っていたので結果的に本当によかった。転院するのにも気力体力がいるので、姑はよく頑張ったと思うし、そばに親身になってくれるケアマネさんがいて良かった。頑張ったと思うが、煙草はやめる気がないようだ。寒いから窓もあけずに室内ですぱすぱ吸って「最近はどこ行っても吸えへんね。もう犯罪者よあれは!」と言っていた。
京都工芸繊維大学で『近代日本のステンドグラス 木内真太郎資料を中心に』という展示があったので姑を誘って一緒に見に行った。木内真太郎がすっとした美男だと姑が褒めた。姑とこういう展示を見に来るのは初めてだったが、このステンドグラスの展示を見るのもお互いの趣味が合って、わたしたちのほかにお客さんがいなかったこともあり、喋りに喋った。同時に展示されていた『おいしい広告2 ヨーロッパと日本の酒・菓子・煙草のポスター』展もとてもわたしたち好みのものだった。
予想以上に見ごたえのある展示を楽しみ、義実家に帰った。お義兄さんも帰ってきた。今まで気が付かなかったけど、お義兄さんの耳たぶはかなり四角だ。あんなに四角い耳たぶは見たことがない。
みんなが揃うまで姑とケーブルテレビを見ながら、アイドルだったらNEWSの増田くんが良いとか小室圭はあかんとか佳子ちゃんはマイペースだからあの子は大丈夫よなど、芸能皇室情報を浴びていた。アイドルは誰が好きなん?と聞かれたが好きなアイドルはいないので、佐々木蔵之介ですと答えた。あれアイドルちゃうやんと呆れられた。
全員がそろって簡単な食事を済ませ、いざ帰るというとき、ふと思い出して「そういえば純烈は好きですか?」と聞いた。すっごく嬉しそうに「あんなん!あかん!暴力!」と表明しておられた。