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映画『ひとよ』のストーリー以外のところを主に
映画『最初の晩餐』と『ひとよ』の感想が、すぐには書けないでいる。今年観た邦画の中でかなり好みのものだ。
どちらもテーマはドラマチックなものだけれど、それに対する作品の終わり方に突き放し感を持つ。それがわたしの好みなんだろう。
どうやって終わるの、どうやって終わらせるの、と思いながら映画を観る。
『ひとよ』は終わりに近づくにつれ、脇の佐々木蔵之介の使い方が面白くなってきたのが良かった。
舞台となった大洗という土地について、関西人のわたしはよくわかっていない。東京にはたぶん日帰りできるけど田舎で、でも村というほどではないという感じだろうか?
その土地の立ち位置がもっとわかればまた見え方が違うかもしれない。
自宅兼タクシー会社事務所で物語の大半が進む。この建物がまた良い。なかなか撮影場所が見つからず、探すだけでも5ヶ月かかったとのこと。その中の小道具の細かさ。生活感の出し方。『万引き家族』を思い出させる、ぼさぼさの小さな庭の中の松岡茉優。
ストーリーを語るより先に、生活の匂いが立ちのぼるような描写の細かさについて、観た人と一緒に語り合いたい。
使っていたタクシーのタイプも、ちゃんと古い。ウィンカーの音、マニュアル車っぽい動き。今日びのタクシー会社はハイブリッドや何やらに丸々入れ替えたりしているけど、あの会社はそんな資金は無くて、丸々古い。そういうところとか、語りあいたい。
醒めるところが無くて、物語の中にぐんぐん引き込んでくれるパワフルな作品だった。
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