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夫婦をつなぎ止める”愛着”とはなんなのか?キャリア25年の臨床心理士さんに聞いてみた。

「夫婦に恋愛感情は必要ない。必要なのは”愛着”だ」

夫婦関係に関する本を読んでいると、そんな話をよく目にします。

愛着をはぐくむことで、夫婦は絆を取り戻すことができるのだと。

でも、”愛着”っていったいなんでしょう?

普段の会話で使うこともあまりないし、あらためて考えるとちょっとよくわからないですよね。

わかるようでわからないこの言葉の意味が知りたくて、臨床心理を25年間続けている上遠文恵さん(臨床心理士)のカウンセリングルームにおじゃまし、じっくりお話をうかがってきました。

愛着とはそもそもなにか?

愛着と夫婦関係はどのように関係しているのか?

不倫などの強い傷つきの体験をした夫婦でも、愛着によって関係性を改善できるのか?

この三つについてお話をうかがい、3部作として、12/15(木)、12/19(月)、12/22(木)の3日間に分けてポッドキャスト「アツの夫婦関係学ラジオ」で配信します。

この記事では、第一回目の放送である「愛着とはなにか?」について、簡単に内容をまとめています。

ポッドキャストも一緒に聴いていただけると、より理解が深まるかと思いますので、ぜひお聴きください。

愛着(attachment)とは、イギリスのジョン・ボウルビィという児童心理学者が提唱した概念です。

当時(1950〜60年代)は病院に子どもが入院する際、親は同じ部屋にいれないなど、親と子どもとの関わり合いが制限された時代でした。

そんななかでボウルビィがはじめた研究が親子間の愛情でした。

愛着は英語でアタッチメントと言いますが、「くっつく」という意味です。

赤ちゃんとお母さんもくっついていますよね。赤ちゃんはお母さんにくっつくことで安心感を得るからです。

赤ちゃんや子供が泣くと、お母さんがあやすなど対応してくれる。

赤ちゃんや子どもの「欲求」に親が「反応」することで、信頼関係が作られていくわけです。

子どもと親の毎日の触れ合いのなかで、神経回路が発達し、神経が落ち着くようになっていくんです。

子どもが「欲求」を表現し、親がそれに「応答(反応)」していく。

それが愛着関係です。

愛着関係は質が重要であり、「この子はどんなことを求めているのか?」と、子どもが求めるものに波長を合わせていくことが求められます。

子どもの感情を感じ取って、気持ちを聞いてあげるという作業です。

それをしないと、子どもは「自分はこの人(親)にとって、大切な存在ではないのか……?」と感じ、親とのコミュニケーションをあきらめるようになります。

「自分が呼びかければ親は応えてくれる」

その信頼感が、「自分は感情を感じていいんだ」、「自分は気にかけてもらえる存在なんだ」という感覚へとつながっていくのです。

そして、自分自身の存在の承認が、「人は自分が困っていたら助けてくれる」といった社会への信頼関係へとつながっていきます。

とはいえ、ぼくもそうですが、仕事や家のことで忙しい親が、いつも必ず子どもたちの欲求に応えられるとは限らないですよね。

そこで参考になるのが、「グッドイナフマザー」という考え方です。

完璧に子どもの欲求に応えられなくてもいい。2~3割できていれば十分という考え方です。

2~3割だったらなんとかなりそうですよね。

できてないことに気がついたら「ごめんね」とあやまり、気をつけるようにすれば、子どもは親の愛情を感じ取ることができます。

子どもには、親が自分を気にかけてくれていることは伝わっているんです。たとえ2~3割しかできてないとしても。

「パパやママはずっとそばにはいないけど、いつも気にかけてくれている」

その感覚が子どもに芽生えれば、子どもは安心して外(学校など)に行くことができるんです。

それを「親の内在化」と呼びます。

親の内在化ができているということは、抽象的な思考ができていることであり、愛着関係が築けているということでもあります。

逆に、親との間に愛着関係が築けていないと、「親や大人がわかってくれない辛さ」を乗り越えられず、その「辛さ」を感じないようにしてしまいます。

「辛さ」や「悲しみ」はひとりでは乗り越えることができません。なぜなら、その作業は愛着関係のなかで起こるからです。

愛着関係のなかで、感情調整(悲しみを癒すこと)は行われるんです。

ひとりでは乗り越えられないからこそ、愛着関係を作れていない子どもは辛さを感じないようにしてしまうんです。

そうすると、大人になり結婚してから、パートナーからの感情的な求めに対して理論的な対応をしてしまうのです。

なぜなら、自分自身が自分の感情を感じないようにしているからです。

自分の感情につながっていないから、人の感情にもつながりにくい状況が生まれてしまうんです。

ポッドキャストでは、より深く、より詳しく解説しています。

結婚生活をより良くしたいと考えている方は、ぜひ、お聴きください。

アツの夫婦関係学ラジオ

#439 夫婦を繋ぎ止める”愛着”とはなんなのか?【ゲスト回:臨床歴25年上遠文恵さん】

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※「アツの夫婦関係学ラジオ」は毎週月曜木曜の朝5時配信です。

ご出演いただいた上遠さんのカウンセリングルームのホームページはこちらです。


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