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煩悩を超えてゆけ!夫婦の慈悲を手に入れるためー仏教概念とパートナーシップ
夫婦関係をよくするにはお互いへの思いやりが欠かせないとよく言われますよね?
でも、そもそも思いやりってなんでしょう?
あらためて言われるとちょっとわかりにくいですよね。
先日、コンパッション(思いやりや慈悲と訳される新しい心理概念)専門家である東京成徳大学大学院の石村先生にお話をうかがったときに、「コンパッションは仏教思想が強い」って話をされてたんです。
そして、「八正道というものがあって…」と先生が少しだけ言いかけてまして、それがずっと気になってたんですよね。
西洋の心理学会で注目されているコンパッションはぼくら日本人に馴染み深い仏教が元ネタになってる。
じゃあ、その仏教概念を知るとコンパッションを深掘りできて、夫婦の葛藤もなくしやすくなるんじゃないかなって思ったんです。
というわけで、さっそく調べてみました。
今回の話は仏教概念の話ですが、ぼくはここに夫婦関係をより良くするヒントがあると思ってます。
それから、パートナーシップ事業における課題も。
◇
コンパッションは仏教では慈悲と呼ばれ、仏教では人が慈悲にいたるには3つの道があると言われてます。
それが「縁起(えんぎ)」、「四聖諦(ししょうたい)」、「八正道(はっしょうどう)」です。
縁起については昨日書いてるので、今日は「四聖諦(ししょうたい)」と「八正道(はっしょうどう)」について書きますね。
なんかむずい!漢字だらけ!
ってぼくも思ってたんですが、言ってることはすごくシンプルでわかりやすいものなので大丈夫です。
四聖諦は、苦しみの原因とその解決方法を示した「4つの聖なる真理」のこと。4つの真理はこちら。
1. 苦諦(くたい)
人生は苦であるという真理。生きること、老いること、病むこと、死ぬこと、憎しみ、怨み、愛する人と別れることなど、人生には避けられない苦しみが存在すること。
2. 集諦(じったい)
苦しみの原因は煩悩(欲望や執着)であるという真理。これらの煩悩が苦しみを引き起こす。
3. 滅諦(めったい)
煩悩を滅することで苦しみが消えるという真理。煩悩を取り除くことで、涅槃(ねはんと読む)(悟りの境地)に至ることができる。
4. 道諦(どうたい)
苦しみを滅するための道が存在するという真理。この道が「八正道」。
簡単にまとめると、「人生とは苦しみであり、その原因は欲望や執着であり、八正道を参考にそれらをなくすことで苦しみは消えるのだ。」ってことです。
じゃあ、八正道はなにかというと具体的な行動が書かれてたものなんですね。八正道はその名の通り、次の8つにわかれてます。
1. 正見(しょうけん)
正しい見解。四聖諦の真理を正しく理解すること。
2. 正思惟(しょうし)
正しい思考。自己中心的な考えを避け、真理に基づいた思考を持つこと。
3. 正語(しょうご)
正しい言葉。嘘をつかず、他人を傷つけない言葉を使うこと。
4. 正業(しょうごう)
正しい行い。道徳的で他人に害を与えない行動をすること。
5. 正命(しょうみょう)
正しい生活。正当な手段で生計を立てること。
6. 正精進(しょうしょうじん)
正しい努力。善行を積極的に行い、悪行を避ける努力をすること。
7. 正念(しょうねん)
正しい気遣い。常に心を清らかに保ち、注意深く生活すること。
8. 正定(しょうじょう)
正しい精神統一。瞑想を通じて心を集中させ、平静を保つこと。
この8つの徳を積めば欲望や執着から解放され、苦しみは消えますよってことです。
意外にシンプルですよね。
でもですね、西洋からやってきたコンパッションはもっとシンプルなんです。
「自分や他者の苦しみに気づき、それを積極的になくそうとすること」
そして、そのための方法の一つがマインドフルネスであると。つまり八正道の最後にあたる瞑想です。
マインドフルネスという言葉を日本人がよく聞くようになったのって、この本がスタートだと思うんです。
だけど、マインドフルネス(つまり瞑想)って、ぼくら日本人にとっては馴染み深い概念だったんだと思うんですよね。
でも、西洋から「Googleの人材はこの研修で成長する」と言われないと、やる気になれなかった。
なぜなのか?
ぼくはそこに権威性の問題がある気がしています。
仏教思想よりもGoogleに象徴される経済力の方が権威性が高いと、多くの人が感じている。
「仏教徒はこの修行で成長する」なんて言われてもそんな本買いませんよね。あたりまえじゃんと思うし、仏教徒の修行内容に興味がある人なんてかなりマイナーです。
それよりも、世界トップレベルの収益を叩き出しているグローバル企業が実践する謎の儀式!の方が読みたいと思いますよね。
ものすごく稼いでるGoogle社員がやってるミステリアス研修ってなに?それやればオレも稼げるの?って思う人多そうですよね。
煩悩から解放されるマインドフルネスへの導入が、めちゃめちゃ煩悩をフックにしてるっていうのが、なんとも皮肉ですが。
心穏やかに暮らせる仏教の真理より、経済力アップの秘訣の方が権威性が高くなってる。
これは人の本能なんですよね。金銭欲、性欲、食欲、これらの欲に反応するようにぼくらはできてますから。
だからこそ悩みが生まれ、生きにくさが生まれるわけですが。
これと似た話でモテ本とパートナーシップ本の市場の話があります。
モテ本ってめちゃめちゃ市場がでかいですよね。
「狙ったあの子を落とせるLINE術!」だとか「これであなたも愛され女子に!」みたいな本って山のようにあるし、モテ系発信者もたくさんいます。
だけど、パートナーシップ市場はどうでしょう?夫婦関係本はあるにはあるけど、モテ本ほど盛り上がってないですよね?
パートナーシップ発信者もいるけど、Xで万単位のフォロワーがいてめっちゃ影響力のある人っていないですよね。
これってモテ業界が性欲という煩悩にダイレクトに刺せるのに対して、パートナーシップ業界がさせる煩悩がないってことなんだと思うんです。
そもそも、煩悩から解放されて、お互いへの思いやりを持ちあおうってのがパートナーシップ事業の目的なわけて、煩悩なんか入るわけがないんですよね。
今日の話は、夫婦が思いやり(慈悲)を持てるようになるには、生活をあらためて(八正道)、煩悩を捨てる(四聖諦)ことが必要だって話なんですが、こういった話をどうやって広めたらいいかぼくも悩んでるんです。
SNSは人のネガティヴな煩悩に刺さるようにできてるんで、そもそもこういった道徳的な話は刺さりにくいのかなとか、もっと適した発信方法があるのかなとか……。
こんなやり方がいいんじゃない?というアイデアがあればぜひ教えてください🙏
最後はお願いになっちゃいましたが、パートナーシップに向き合うヒントに少しでもなれば幸いです。
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この話はポッドキャスト「アツの夫婦関係学ラジオ」でも話しています。少し違う角度で話してます。
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では、また明日お会いしましょう〜👋