歯医者 「リョウ(僕24歳)さん、歯周病ですよ。早く治療しないと、まずいです。」
「リョウ(僕)さん、歯周病ですよ。早く治療しないと、まずいです。」
あれは、24の秋のこと。わたしは歯周病とはまったく別件の治療で、歯医者を訪れていた。
…
わたしは大学生の時、酔っ払っていたときに思いっきり顔を打ちつけて、歯を折ってしまった。
歯は無事に元の見た目を取り戻したが、「歯の神経も死んでいるので、歯医者に通ってくださいね」と言われた。
当時のわたしは、行かなかった。
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大学生でお金がなかったというのと、人生で虫歯になったことがなく歯医者
経験がゼロだったため、猛烈に歯医者さんに対して苦手意識があった。
なんか、あの、清潔を押し付けてくるような独特のニオイが、恐怖心を掻き立ててくる。
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ときは進み3年後。
死んでいた歯の神経が疼き出し、歯茎が猛烈に腫れだした。
当たり前のことだ。
24の秋だった。
「もう大人だし、歯医者くらい大丈夫だろ!」と、自分を言い聞かす必要もないくらいの痛みと腫れだった。
恐怖よりも体のSOS信号が圧倒的に勝った。
…
歯も無事?差し歯になり、しばらく治療も進んだある日のこと。
すっかり馴染みになった歯医者さんから、あるひとことが告げられた。
「リョウ(僕)さん、歯周病ですよ。早く治療しないと、まずいです。」
….
いまさら???
歯周病??人生で今まで一度も虫歯になったことがないおれが、歯周病になることあるの???
頭に浮かんだのはそんな疑問と、かすかな希望だ。
しかし、わたしは歯医者さんが持ってきた歯の裏側の写真をみて、もういちど衝撃を受けた。
まっきいろやないですかい
ショックだった。
正面からみると別にそんな黄色くもないわたしの歯だが、後ろはむしろ黄色通り越してオレンジ??というくらい、黄色かった。
もはや、言い訳の余地がない。
わたしはその「あなた口臭いですよ」宣言を受け入れ、元の目的だった歯の神経の治療が落ち着いたタイミングで、歯周病の治療をすることにした。
歯周病の治療は、歯と歯茎の間に、銀のひっかき棒みたいなものを突っ込まれ、汚れをグイグイと取っていく、というものだった。
それを歯の右上ゾーン、左上ゾーン、右下ゾーン、左下ゾーンと、4回に分けておこなう。
(3年前なので、うろ覚えです。もっといろいろやっていたかも。)
文章にすると痛々しいが、実際はあんまり痛くない。
そんなことよりも治療後の朝。またわたしは三度目の衝撃に見舞われる。
寝起き、口臭くない!
…
そのときまで、寝起きは全人類、口はネバネバして、臭いものだと思っていた。
どうやらそれは、歯周病の私だけだったようだ。
今まで良くさせていただいた女性に、良さげな手土産を片手に、すいませんでしたと挨拶まわりをしたい。
「女性はキスが好きなんでしょ?」と、どっかのやっすい恋愛読本を鵜呑みにしてしまったせいで、わたしはきっと毎度女性に軽い拷問を強いていたことだろう。恥ずかしい。
…
少しはなしは脱線したが、すべての歯周病の治療を終えたときには、わたしの口の中は、見違えるようにスッキリした。
いまは、口は臭くない(多分)。
たまにきく「歯周病は治らない」みたいなあれは、きっと無視して大丈夫。歯医者に行けば、絶対にいまよりは良くしてくれる。
24の秋まで、歯医者もいったことがない、歯磨きも適当だったわたし。
いまでは、寝る前の歯磨きにはフロスとマウスウォッシュをするようにまでなった。
そして、半年に一回は歯医者に行って、定期検診とクリーニングをしてもらっている。
…
ここまで読んでくれた人に、わたしは全力で訴えたい。
わたしは基本的に、病院がきらいだ。薬もきらいだ。
からだは元々強いほうだし、健康に大事なのはそんなものより、しっかり食べ、寝て、適度に運動するという、日頃の習慣のほうが100倍大事だと思っている。
体調を崩したとしても、薬や病院に頼らず、ご飯を食べて、たくさん寝てしっかり休めば、いつか治る。
ただし歯。テメーはダメだ。
いくら日頃から、歯磨きをしても、フッ素入りの歯磨き粉を使っても、フロスをしても、マウスウォッシュをしても、完璧に汚れをなくすことは絶対にむりだ。
そして、歯の病気は、いくら休んだところで、様子見をみたところで、絶対に良くならない。悪化の一途をたどるのみ。
「私いま歯に問題抱えてないです」思っている人でも、この世に生ある人、半年に一回、歯医者にいって定期検診とクリーニングは絶対にしなければならない。
これはもはや、じぶんの努力では絶対に解決できない宿命なのだ。
行かなければ、いつか痛い目にあう。
しかし、ちゃんと行きさえすれば、あなたは救われる。
歯の定期検診とクリーニングは、保険適用で大体3000円程度だ。
こんな安く救われていいものだろうか。破格なレベルだ。
寝起きの口が臭いあなたも、しばらく歯医者に行っていないあなたも、いますぐ歯医者にレッツ・ゴー☆☆☆