【管理会計の論点 その9】投資実行後のフォローできていますか?
こんにちは!
当コラムでは毎回、管理会計プロジェクトで論点になりそうなトピックを解説します。
論点というぐらいなので、いつも選択肢は1つではありません。
どうやって答えを決めるのか?いつもお客様と一緒に悩みながら、その時にベストな解答を探しますが、ベターなやり方を選択することも多いのが実情です。
さて、第9回目のテーマは「投資管理」です。
「投資管理」のなかでも今回は投資実行後のフォローの重要性について考えてみたいと思います。
会社が投資を実行する際、キャッシュフローやNPV、回収期間といった指標を使い、綿密に計画を立てます。しかし、投資が実行された後、そのフォローが十分に行われていないケースが少なくありません。
これでは大きな損失を招く可能性があります。投資を成功させるには、投資の進捗を適切に管理し改善を行うことが不可欠です。
投資実行後のフォロー不足の問題点
投資後のフォローが不十分だと、計画通りに進んでいるか確認できず、問題があっても見逃してしまいます。早期に問題を発見して改善しなければ、せっかくの投資が無駄になりかねません。さらに、過去の投資案件を振り返り、その経験を次の投資判断に活かすことが非常に重要です。失敗を次の成功の糧にするためにも、フォローアップが欠かせません。
未来志向での投資管理が成功の鍵
投資実行後の評価・管理は、未来志向で行うことが求められます。投資前に設定したKPI(重要業績指標)をもとに、進捗を確認し、改善策を検討します。最終的な成果となるKGI(重要成果指標。例えば売上や利益)だけではなく、事前指標となるKPIを設定し、しっかりと管理することが重要です。これにより、投資の成果をより早い段階で評価し、計画が順調でない場合にも早期に対応できるのです。
投資プロセス自体を評価する重要性
投資実行後、投資プロセス全体を振り返ることが重要です。投資による支出はすでに埋没費用(サンクコスト)となっていますが、その投資プロセス自体を評価し、次回以降の投資活動に活かすことで、将来的な投資成功の確率を高めることができます。プロセスの見直しは、計画の改善だけでなく、組織全体の投資判断力の向上にも寄与します。
効果的なフォローで投資の成果を最大化
投資後のフォローを適切に行わないと、期待された成果を得ることができず、投資の効果を最大限に引き出せません。定期的な進捗確認と改善策の実施、さらには次の投資に向けたPDCAサイクルを確実に回すことが必要です。これにより、投資実行後の成果を確保し、次の投資判断に活かせる有益な知見を得ることができます。
企画:
アットストリームコンサルティング株式会社
プリンシパル/公認会計士 内山 正悟
EY新日本有限責任監査法人を経て、現在に至る
執筆:
アットストリームコンサルティング株式会社
取締役・シニアマネージングディレクター 松永 博樹
アーサーアンダーセンビジネスコンサルティング(現 プライスウォーターハウスクーパース)を経て、現在に至る。
編集:
アットストリームコンサルティング株式会社
執行役員・マネージングディレクター 伊藤 学
プライスウォーターハウスコンサルタント株式会社(現 日本IBM)、
ベリングポイント株式会社(現 PwCコンサルティング)を経て、現在に至る。