#1 アッと♡ストーマ、始めました。
Facebookの完全招待制、非公開グループ「オストメイトといっしょ!秘密結社アッと♡ストーマ」の管理人の一人、れなです。このやたらに長~い名前のグループ、最近、私たちが始めた”オトナのクラブ活動”です。「オストメイト」とか「ストーマ」とか、謎の言葉ばかりが並んでいるからってどうかページを閉じないで!1分以内にこれらの謎はおおかた解けますので、よかったらちょっぴりおつきあいお願いします。
まず最初の”オストメイト”とはなんなのかというと…「駅とかの多機能トイレに表示があって。ほら、手洗いみたいなのがもうひとつついてるでしょ」で「あ~アレね」となる人が体感7割。ではその中身を知っている人はというと、体感2割?といった感じでしょうか。いうまでもなく”ストーマ”という言葉を知っている人はさらに減ります。(※個人の感想です)
そう、”オストメイト(ostomate)”というのは、病気や障害、交通事故などで排泄ができなくなり、手術で人工肛門や人工ぼうこうを作った人たちのことです。国内に少なくとも21万人いらっしゃいます。人工肛門という言葉を聞くと、「あ~あの俳優さんの!」と聞き覚えのある方も多いかと思いますが…
ハイ、ではここで問題です。
人工肛門や人工ぼうこうはからだのどこにあるでしょう?
答え。
実は、おなかなんです。そしてたま~に誤解している人がいますが(そして私もその一人でしたが←恥)何かシャキーン、ガシャーンと音のでそうな機械のようなものが埋め込まれているわけではありません。手術でその人自身の腸や尿管をおなかの外に出し、人工的に肛門やぼうこうを作って、便や尿、ガスなどを排泄できるようにしているんです。この人工肛門や人工ぼうこうのことを”ストーマ(stoma)”といいます。
いうまでもなく、便や尿などを排せつできなければ人は生きていけません。だからストーマはとっても大切なものです。命をつないでくれるって最上級に重要なポイントですが、それだけではありませんよ。中にはストーマを作ることでそれ以前よりも生活の質が上がる人たちもいます。1日何十回も行かなくてはいけなかったトイレに行かなくて済むようになったり、これまで食べられなかった物を食べられるようになったり。
ただし、ちょっとしたおつきあいの工夫が必要です。ストーマには、もともとの肛門などと違って筋肉がないため、排泄のコントロールができません。そのため、365日、24時間常に”パウチ”と呼ばれる袋のような装具をつけなくてはいけないのです。
このパウチの扱い、慣れるまではとっても大変なんだそうで、その交換を”苦行”と例える人もいます。一方で、自分の人生と切り離せない存在だからこそ、パウチと過ごす時間を素敵なものにしようという思いもあるのです。ちなみに、こうしたオストメイトの方の切なる思いから生まれたある”営み”を私たちのグループでは大事なプロジェクトとして進めています。こちらはまた追って紹介しますので、楽しみにしていてくださいね。
まぁそんなわけでとにかく、オストメイトのみなさんにとって、”ストーマ”というのはおそらく、”人生の相棒”みたいな存在です。そして、”ストーマ”には”パウチ”というアイテムがマスト。人によってはがんなどオストメイトになった原因の病気などとも闘いながら、新たに自分の一部となったこの相棒やパウチとどううまくやっていくのか、そしてどう人生をゴキゲンに過ごせるか、日々試行錯誤しながら生活していらっしゃいます。それって、誰にでもできることではなくてめちゃくちゃかっこいいことです。
にも関わらず、排せつに関わることであるためか、外からは見えない場所にあるからか、日本ではその実態が社会に広く正しく伝わっておらず、オストメイトの中には、人知れず肩身の狭い思いをしていたり、オストメイトでなければ我慢する必要のないことを我慢していたり、中には、匂う、もれるといった差別や偏見をおそれてオストメイトであることを隠して生きている人もいます。
そんな現実を本業のテレビ番組の取材の中で知ってしまった私は、番組放送後もこのテーマに関わっていけないかと、取材に協力してくれたオストメイトの一人、思いと情熱にあふれたさゆりさんに声をかけ、ゆる~い「部活動」を始めることにしました。それが、こちら「オストメイトといっしょ!秘密結社アッと❤️ストーマ」です。オストメイトの方とそうでない私たちが一緒になって、なにか楽しいことをしているうちに、気づいたら今よりちょっとオストメイトが生きやすい社会になっている、みたいなことを目指しています。
実は、私がこのお誘いをさしあげたとき、共同管理人のさゆりさん、違うことを考えていて笑。”秘密結社”というコンセプトと”アッと♡ストーマ”という素敵なグループ名はさゆりさんのアイディアだったのですが、なんで方針を変えて一緒にやろうと思ってくれたのか、このあたりの裏話やさゆりさん側の思いはまたご本人の記事をお待ちください。
さて、再びこのグループを作った動機に話を戻しましょう。とにかく凡人である私は、これまでも放送をだした後もそのテーマにずっと関わり続けていけるほどの腕っぷしはなく、なんだか見届けきってないような、途中で投げ出すような、どこか後ろめたく思うことが幾度かありました。そしてもう一つ。大人になるにつれて知識や経験、趣味、人脈などが少しだけ積みあがっていくと思うのですが、会社でがんばる、家族の中でがんばるみたいな場面はあっても、職場でも家庭でもない「世の中」みたいなところでそうした自分自身の蓄積を生かす機会って意外とないよなぁと思っていたのです。で、こっそり「あの人のあの得意技、あの問題に使ってくれたら最強じゃない?」みたいなことを仲間のFacebookの投稿を眺めながら勝手に虎視眈々と妄想?していたのですが、実はその「悪だくみ(?)」が、この結社の基本構造になっています。
その構造とは、つまり、クラフトが得意、英語がすごい、銭湯が好き、役所に強い、絵がうまい、パウチに詳しい、超ポジティブ、当事者団体運営の経験がある、切り口が人と違うなどなどメンバーみんなが得意なことを持ち寄って、オストメイトに関わるなんだか面白いプロジェクトを世の中に発信していくというものです。そのプロセスでオストメイトのメンバーは「自分たちの何が世の中に伝わっていないのか」に気づいたり、オストメイトでないメンバーは、時には怒られたりしながらもなんだかんだ楽しんでいるうちに”オストメイト通”になっている、といった様々な副産物が期待できたりするのも売りです。(誰にPR?!)
あぁ・・・・思いっきり長くなりました。このグループを作ったのが5月1日。以来、2か月、みんなの話を聞いたり、前半にお話しした、”オストメイト人生を素敵なものにしてくれる営み”に関わるものを見せてもらったり(注:プロフィール写真に使っている、「ネオンピンクのカラダで草原に横たわっているあの子」はそのひとつで、うちのグループだからこそ誕生したものです。この話もおいおいお伝えしたい。)思いついたことを語り合ったりしていると、わくわくドキドキ興奮してきて、気分はさながら文化祭。
現在メンバーは45人でオストメイトの方は10人程。残りは元オストメイトの方、オストメイトではないけど番組やSNSを見てくれて興味を持ってくれるなどした私の友人や先輩、取材がきっかけでつながったみなさんたちなどです。イギリス、デンマーク、ルワンダなど海外のメンバーもいます。広い世界にも興味深いヒントだらけです。日本オストメイト界には、すでにすばらしい実績のある患者会や当事者団体があるので、私たちはこのメンバーがここで出会ったからこそできる楽しいことをやっぱり虎視眈々とみつけて、その感動やつまずきをマイペースに記録していこうと思っています。
そして、もう一つ、こちらのnoteのコンテンツの柱にしようと思っていることがあります。まだオストメイト1年生のメンバー、さーさんからの提案がきっかけで、パウチのこと、闘病のこと、下着や衣服のこと、海外の事情、オストメイトになるということ、などなど、さーさん自身がオストメイトになるときに知れたらよかったなと思うような情報です。グループそのものはみんなが安心して話せるように完全招待制の非公開なのですが、その中でやりとりした有用な情報はここでほかの人も見られるようにしようという作戦です。ゆくゆくは手を挙げてくれたメンバーのみなさんにも発信してもらえたらいいなぁと思っています。
さぁ、それではさゆりさん、バトンを渡しますよ。さゆりさんが最初に作ろうとしていた形の結社への思いや、オストメイト=有袋類と名付けた思いあたりからどうかしら?よろしくね!
※なおこちらの部活動は、私個人がゆるりと取り組むもので、所属する組織とは関係ありません。
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