現代版「鏡の国のアリス」!?アメリカ最新フィットネス「MIRROR」。鏡で繋がる「connected fitness」の始まり
こんにちわ
先日ニュースをみていると、このようなニュースが飛び込んできました。
「ルルレモン」がミラーというホームフィットネス(英語では、connected fitness というそうです)の「MIRROR」を5億ドルで買収したのです。
ルルレモンは、カナダのバンクーバー発のアパレルブランドで、全世界に460店舗(日本でも6-7店舗)の展開やオンライン販売をしています。主にヨガウェアとして有名です。売上は現在約40億ドル(アメリカドル)です。
40億の売上規模がどれくらいかをスポーツメーカーと比較すると、第1位のナイキ(NIKE)350億ドル対比では約10分の1です。
出典:https://news24-web.com/sports-maker/
しかし、第3位のPUMA(52億ドル)から第5位のNEW BALANCE(42億ドル)がルルレモンの少し上をいっている数字です。なお、日本のトップブランドであるアシックスは第6位で36億なので、それを上回っています。
そのため、ルルレモンは、もはや世界的なブランドだと思われます。そんなブランドが、まだ創業して2年目のホームフィットネス(connected fitness)に投資したので驚いたわけです。後述でもありますが、売上は、まだ4,500億ドルなので、その10倍の価格を払っているわけです。かなりの未来投資だと思います。
ちょっとこの業界かなり楽しくなってきてませんか???
今回は、前回のnoteを補足する形で記載しますので、まだの方はこちらから読んでいただいてからの方がわかりやすいかもしれません(これ長いです・・)。
<前回の記事>
はじめに
ざっくりと前回のnoteを振り返ると、
・今回のコロナの影響でホームフィットネスに注目を浴びている
・その中でもPelotonという会社が現在アメリカで最も注目をされている
・IT✖️フィットネスという軸で既存のビジネスを変容させている
というようなことを書きました。
当時は、Pelotonも無料体験キャンペーンやTVCMなどを実施しブーストをかけてはいたのですが、実際にコロナが明けてきたらたらどうなるのだろうと思っておりました。順調に、利用者数は上昇しているようです(月額登録者数80-90万人)。
さらにアメリカでは、コロナの第2波の流れがきており、ますます外出やリスクを避けるようになるために自宅でのエンターテインメントに集中するためこのトレンドは当面変わらなさそうです(※アメリカは医療費が高いため、日本よりもよりそうしたリスクを避ける傾向にあります)。
そんなな中、Peloton一人勝ちなのかなと思っていたら、今回はルルレモン(lululemon)がMIRRORというホームフィットネスを買収するというのです。
1 MIRRORとは
そもそもどのような会社なのか少し調べてみました。代表者は、Brynn Putnamというハーバード大卒の元バレエダンサーの女性のようです。
https://twitter.com/BrynnPutnam
美人ですw、セブンルールなどで特集されたら盛り上がるでしょうね。
彼女は、バレエダンサーを退団した後に、ニューヨークでの仕事を考えていました。当時は「ブティックフィットネス」が盛んになっており、彼女もトレーナーとして様々なジムで働き始めました。しかしながら、どのジムも顧客の満足するサービスを出せていないと感じた彼女は、様々な研究者やアスリートなどから科学的にデータを分析していき、効果あるあるジムを作りました。それが、下記の「refinemethod」というジムです。"refine"。そして限られたスペースでそれを提供していました。
そうしたとき、彼女は妊娠をし、つわりがひどくなり通常のワークアウトが厳しくなりました。そこでホームフィットネスで流行り出していたのは、Pelotonでした。しかし彼女は、自宅にバイクを置くのは嫌でした。さらに他のストリーミングサービスもいまいち彼女に刺さりませんでした。そこで、ある時、「refinemethodを鏡でできないか!」という突拍子もない思いつきをするのです。
そこから、彼女は、自宅のキッチンでプロトタイプの制作を始めました。まずアマゾンでタブレットを買い、その他のキットを揃えました。夫がIT系のビジネスを経営していたこともあってか、なぜか彼女はITにも詳しく、妊娠7ヶ月目にしてプロトタイプを完成させます。
・・・・なんか、ダイソンの創業の話を聞かされているようです。。凄すぎる。そして、創業理由はpelotonと同じです。
実際にそこからファウンダーを集め、実際の製品が完成するまで2年の歳月を費やしましたが、2018年「MIRROR」がスタートします。
そして、驚くべきことに、販売して3ヶ月後、アメリカの有名歌手、アリシア キアーズ(Alicia Keys)のInstagramにあるポストがされます。
なんと、MIRRORが自宅に届いて大絶叫するのです!動画の興奮やばいです。その動画をみた数々の著名人、「リース・ウィザースプーン(Reese Witherspoon)」、「Ellen DeGeneres」、「ケイト・ギャリー・ハドソン(Kate Garry Hudson)」などなどがMIRRORを取り上げていきました。
そうして、どんどん利用者が増えていったのです。
では、現在のPelotonとMIRRORの状況を比較しましょう。
Perotonと比べ創業は5年遅れです。売上は、4500万ドルなので、pelotonの30分の1です(が、日本円で考えると48億円ですから十分すごい・・)。
次に利用価格ですが、ビジネスモデルは、初期に商品を買ってもらい、あとはサブスクで課金というもので、両社とも同じです。MIRRORの場合は価格は、鏡だけで1495ドルで、Pelotonのバイクよりも安いです。月額課金は月額39ドルでPelotonと同じです。
また、両社とも脈拍やカロリー等を計算するウェアラブルデバイスがあり、体の動きを細かく管理できます(もちろんapple watchにも対応)。
こんなもの。
トレーニングメニューは、録画された動画をやったり、ライブ配信されるエクササイズにチャレンジできます。加えて、MIRRORは最近では、パーソナルトレーニングのメニューを追加するなどしており、バリエーションの広さをうかがせます。
ちなみに下記は、トレーニングメニューの一覧です。
こちらは体験談を記載したものです。詳しくはこちらもお読みください。
そんなMIRRORをルルレモンが買収をしたのです(買収といってもCEOのBrynn Putnamは、そのままなので、早く拡大するために支援したと言った方がいいかもしれません)。
2 ルルレモンが仕掛けた意図を考える
ではルルレモンについて整理しておきます。
ルルレモンは、1998年に創業されたバンクーバーに本社を置くスポーツアパレルショップで、日本では「GINZA SIX」などにお店があり、主にヨガウェアが有名だと思います。そのため、ヨガをやっている人であれば大体知っているのかなというブランドで、特に女性向けウェアがお洒落で人気があります。
実は、2004年に一度日本に上陸したのですが、2008年に撤退しております。
その理由は、日本ではまだ、ヨガ・ピラティスという文化が育っていなかったから。また、海外では、トレーニングウェアを着て、自宅からスタジオにいくという文化がありましたが、日本では、スタジオで着替えるのみだったので、ファッショナブルなウェアというようなものは流行らなかったのではないかと言われております。
現在は、前回の記事でも記載したように、様々なフィットネスとが誕生し、ファッションとトレーニングというのがかなり浸透してきています。また、instagramなどのSNSで自信を発信したりするので、そうした環境もあったと思います。
そうして、2016年、ルルレモンは再上陸しました。
ルルレモンは、通常のアパレルとは少し異なる戦略をとっています。それは、地域密着のコミュニティーを重視した店舗づくりです。例えば、シカゴにはヨガスタジオ、瞑想ルーム、そして食事・飲み物を提供する2万5000平方フィート(約2322平方メートル)の大型新店舗が作られています。
要は、アパレルではなく、ルルレモンという場に集まるようになり、結果ブランドを愛し、アパレルを購入するというスタイルです。
ブランド戦略について調べていたら、このnoteで十分説明されているなと思ったので、それ以上細かくは割愛しますw
とまぁ、日本では、現在、原宿でスタジオもしていて、各スタジオには、アンバサダーというような形で有名アスリートと提携し、そのスタジオでイベントを開催しています。
また、ルルレモンの戦略上の狙いとしては、こうしたコミュニティ機能だけでなく、デジタル(Eコマース)を伸ばしたいということがありました。そこで、オンラインのレッスン動画や、SNSでの戦略にも力を入れておりました。
そうしたときに、オンラインコミュニケーションを実現する上で、ホームフィットネスと絡めることがこのイーコマース事業をさらに加速化できるのではないかと考え始めたのではないかと思います。
3 MIRROR×ルルレモンの組み合わせが仕掛けること
ルルレモンのようなアパレルブランドはもう1つあります。
それが、CrossFitのトレーナーであるAyaさんがいることで有名な「リーボック クロスフィット 六本木」です。ここも、いわゆるスタジオベースにブランドを訴求していく形です。アパレルはあまり販売していませんが、リーボックのウェアを着るととより楽しくできそうに感じます。
しかしながら、やはり両者も課題があります。それが、顧客との接点がお店でしかないとうことでした。さらにそのウェアを着なければならない/着たいと思う場所がそこしかないということです。
そうすると、販売にも限界がありますし、あくまでも対面式の販売に寄るので、Eコマースの売上には直結しづらいのかなと思います。
しかし、トレーニングがオンライン上でされているとどうでしょう。オンライン上でもそのウェアを着る機会が増えます。もしかしたら、その日はオンラインレッスンするから、部屋着/ワンマイルウェアを兼ねてそのブランドを着るかもしれません。日常で手放せなくなるのです。
つまり、ルルレモン、MIRROR共に、それぞれの事業の課題をまさにお互いを補う形になっております。
まだサービスが浸透していないMIRRORはルルレモンの世界各地に店舗を持っており、その流通の力を借りて全世界展開できる可能性があります。一方、ルルレモンは、MIRRORによりサービスの利用をオフラインからオンラインまでも広げることができます。特にコロナ下において、ECサイトが伸びておりますので、これも追い風になると思います。
もちろん、ルルレモンは、Pelotonと提携しても良かったと思いますが、Pelotonは事業規模がかなり大きくなってきております。そのため、利害関係があまり一致しなかったと思います。そうしたとき、MIRRORは、丁度良いパートナーだったのだと思います(実際は、2019年から業務パートナーというような形で協業の模索はしていました)。
特に、MIRRORは鏡です。日常でも使え、Pelotonと比べ導入の心理的コストも低いのです(部屋の圧迫など・・)。
生産ペースがどれくらいで伸ばせるのかわかりませんが、今後この組み合わせでかなり伸びそうな気がします。だって、全国の約500店舗のルルレモンのお店に近いうちにMIRRORの体験スペースができるのです(※MIRRORは現在アメリカ国内3店舗のみ)。
今後どうなるのかが非常に楽しみです。
4 類似サービス紹介
ついでに、「MIRROR」に追随するサービスも色々あるので、いくつか紹介しておきます。
香港のスタートアップ企業が似たようなものを設立したみたいです。
日本では、筑波大学が、AIの運動解析のアプリを制作しました。ただし鏡まではいっていないようです。ただ、ここが、運動科学という視点ではもっとも進んでいるのかもしれません。
鏡というところでは、下記のような商品があります。
ただ、残念ながら等身大ではなく、上半身なのでMIRRORと比べるとフィットネスの効果は低いです。なお、オンラインフィットネス教室アプリ「BeneFitness」もそこには導入されています。
さまざまなジャンルのフィットネスのレッスンが動画で受講・開講できるオンラインフィットネス教室アプリ。好きな先生の毎週・隔週で更新されるをレッスンをいつでもどこでも自分の好きな時間に受講でき、月額課金で教室に通うようにフィットネスが学べます。教室開講も簡単登録で、教えたい人もすぐに先生になれます。
また、マッサージチェアのイナダも同様の商品を開発しています。
ただ、どうしても多機能特化しているので、用途はテレビが多いんですよね。なので、残念ながら、フィットネスにはあまり向いてなさそうです。
でも色々とチャレンジは始まってますね!!
5 おわりに
今回のようにアメリカを中心に、フィットネスが、「AI×フィットネス」がかなり重要なテーマとなっております。日本でのコロナ機の配信フィットネスは、Zoomが多かったかと思いますが、おそらく2−3年以内にこうしたブランド群が日本にも進出してきて展開していくと思います。
日本のサービス見ていくと、どうしても多機能形のデバイスが多く、使いづらい印象を受けます。例えば、MIRRORは鏡でありながら、それは全身鏡なのです。そして、フィットネスのために作られているのでとても使いやすのではないかと思います。特に全身鏡は大体どの家にも置くので必要な家具だと思います。
有名なインストラクターや、リアルでの人気イベントの動画では、利用者や参加者の影響は少ないと思いますが、日常の生活をAIでコントロールし、健康的な体が維持できると知ってしまった以上、ただ動画をみてやってみるよりも、そうしたAIを活用したトレンドは加速化していくと思います。
最近ではなこんな本もあります。
アスリート以外でも健康を維持するためには、必要最低限な運動が必要であると科学的に証明されています。そして、どんな運動がもっとも良いかも。
なお、僕は、ただ好きなだけでこれを書いているので実際やるのがどれだけ大変かはわかりません。でも、そうした事業はとても可能性があるし、とてもみてみたいです。興味を持つファウンダーもいますので、できる可能性はあると思います。
日本だと、わかりやすいですがゲームの相性が良さそうなので、そうした要素を絡めた形でのフィットネスはありかなと思います。
例えば、「リングフィット アドベンチャー」は、国内で100万本売れているので、そうしたところに事業のヒントがありそうです。
色々な情報を集めていきながら、おもしろいアイディアができるといいなと思います。
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と書きながら、、「あつ森」の500万本にビビってます。。ドラゴンクエストやモンスターハンターなんかより全然売れてる・・・。
もはやあつ森でフィットネスを・・・。でも、ゲームじゃなくて、リアルで楽しみたいですw
では、さようなら。
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