見出し画像

2週間で旅を終えたい <インド#4 ラジャスターン>

インドのラジャスターン州をジャイサルメールからデリーまで11日間で旅してきた。

沢木耕太郎氏の深夜特急では、後半になればなるほど、旅をいつ終えるべきかという話が出てくる。前半は、香港での熱狂をはじめ、いかに興奮や歓喜したかの話が多いが、ヨーロッパに入るにつれ、好奇心が摩耗し、旅をいつ終えるのかという話が増えている。

今回の旅は11日間であり、自分のこれまでの最長の旅も同じくらいである。
普通に考えばまったく長くない。でも、2週間もあれば、あくまでお客さんである「旅行」として来ているときとは違い、現地に多少入り込むことができる。

2週間は、旅の初めの興奮だけでなく、旅の中盤には現地への慣れから寛げたり、旅の後半には疲れも出始めるような長さである。また、行きと帰りのフライトさえ予約していれば、途中の工程の計画を立てなくてもよい旅の長さである。

今回、10日程度でインドのラジャスターン州を旅して、やはり自分の旅は2週間くらいがちょうどよいのだなと思えた(今回はインドの国内旅なので11日だが、日本から行くなら前後の移動を入れてちょうど2週間くらいだろう)。

私は、観光地を見たりぶらぶらしてもすぐに飽きることが多い。ガイドブックで2日のプランの場所であれば1日で行けるし、3、4日で推奨されている場所であれば2日もあれば十分である。何なら最後の方はカフェでだらだらしていることも多い。実際、今回の旅では、途中でスタバにこもって仕事をしたりしていた。

旅人にとって「好奇心が摩耗」しないようにすることは、とても重要である。

インドには3ヶ月しかいないし、今回の旅も10日程度に過ぎないが、自分にとっては、このくらいの期間が好奇心が摩耗しないちょうどよい期間だ。ついでに言えば、疲れすぎず、体調を崩しても何とか勢いで乗り切れる期間である。

ラジャスターンでは、ジャイサルメール、ジョードプル、ウダイプル、プシュカル、ジャイプールを周遊した。

プシュカル以外は、どこもラージプートの昔の城でマハラジャの豪華な生活に思いを馳せる+城を中心とした町並みを歩き回るという組み合わせの体験で、城や街はとても美しいのだが、いくつも周っているとどうしても飽きが出てくる。

余談だが、ラジャスターンの美しさについては「パドマーワト」が必見である。今回は行っていないがチットールガルという場所の城が舞台である。

インドのイスラム王朝であるデリー・スルタン朝(のハルジー朝)とクシャトリアの戦士の末裔であるラージプートの戦いは、インドの歴史の勉強にも良い。

ほとんどの日本人旅行者が行くであろう、タージマハルは、デリー・スルタン朝の後のイスラム王朝であるムガル帝国時代のものである。ラージプートの諸王国はムガル帝国と共存しつつ、争ってもいた。

インドはヒンドゥー教が主流のはずなのに、タージマハルなどの有名な観光地はイスラム建築であることに疑問を抱かないまま観光する人も意外と多いのではないだろうか。

旅の期間が短すぎると、文化や歴史の背景を理解せずに、ただ綺麗な景色や建物を見て終わることになる。折角来たのだからと、ある種の義務感から、有名観光地をできるだけたくさん周り、写真をとって帰る、ということをしても何の意味もない。

2週間程度あれば、旅をしながら、気になったことについて歴史的背景を自分で調べながら学びつつ、実際の街を見ていくことができる。背景を知っているととても楽しい。

しかし、旅の期間が長くなってくると、新しい学びや発見よりも飽きが増えてくる。一度そうなってしまうと、旅の期間をもっと長くして、もっとたくさんの場所に行っても旅の初期に得られた興奮は得られないだろう。

旅が長くなりすぎて好奇心が摩耗した旅人は居心地が良い場所に沈没し、何もしない時間を過ごす。この何もしない時間は、「何もしない時間を贅沢に過ごそう」というようなある種のラグジュアリーな旅とはまったく違い、好奇心がなくなって何もする気がない状態のことである。

深夜特急でも、次の場所に向かう足取りが重くなっている描写がたくさん出てくる。特に、雨の日が続くネパールでは、沈没した旅人が薬物に溺れ、死に向かいゆくシーンが描かれている。

仕事や勉強をせず、帰る時期も決まっていない自由は最初は楽しいのかもしれないが、やはり人間にとって自由すぎるのも考えものだ。人間は自由を求めつつも、自由でありすぎることを嫌う生き物だと思う。

だから、自分にとって、旅は、現地にある程度入り込めるくらいの期間でありながら、先行きを考えすぎなくてよく、かつ、好奇心が摩耗しない期間であることが重要である。

街を巡る旅であれば、10日〜2週間くらいで、山を行く旅であれば、4日〜1週間くらいだろう。

これを超えるとただの惰性の旅になってしまう。
ちょうど良い期間を超えた過剰な自由は、人々の感情を奪ってしまう。

そう考えると、かつて憧れた、世界一周の旅やアメリカのロングトレイルは自分はやらない方がいいと思えた。

長い間の旅に出るのではなく、2週間ごとに旅を区切り、何度かに分ける方が良いのかもしれない。その時々の旅は好奇心が摩耗しないし、旅の続きをイメージしながら、日常生活を送ることで、次の旅がより楽しくなるかもしれない。

自分にとって、一番いい旅の期間はどれくらいだろうか?そんなことを考えながら過ごしたラジャスターンの旅であった。

ジャイサルメール

ジャイサルメールの砂漠
ジャイサルメールの砂漠に泊まる
ジャイサルメールの旗?
ジャイサルメールの城壁と街並み
ジャイサルメール城内の路地
ザ・ラジャスターンっていうイメージ

ジョードプル

メヘランガール城
階段井戸に少年が飛び込んだところ
ワンピースに出てきた場所らしい
マハラジャの生活
そんなに青くないが一応ブルーシティと言われる
ストリートアートが結構ある
ウメイドバワンパレス
Friends in Blue City
A guy in Blue City

ウダイプル

湖畔のガート
美術館
シティ・パレス
シティ・パレス
ウダイプルは湖が美しい
月とレイクパレス
夜のシティ・パレス

プシュカル

沐浴 at プシュカル湖
プシュカル湖畔で寛ぐ
プシュカル湖へ向かう家族?
ラクダ祭り
ラクダ祭り

ジャイプール

有名なハリボテ(Hawa Mahal)
アンベール城(魔王の城っぽい)
アンベール城


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集