LBOモデル|ATP (Ability-to-Pay)分析
今回はLBOモデル関連で、Short-form LBOモデルを作る時間もないし、スキル的にもやや不安がある・・という人向けに簡単なLBOのイメージをつかむためにAbility-to-Pay Analysisについて計算例と共に簡潔に記載していく
LBO model: Short-formとLong-form
LBOモデルには一般的なタイプのShort-formと、繰越欠損金(NOL)等の諸条件を織り込んだ複雑なタイプのLong-form LBOがある。
いずれも財務3表を回すが、PEファンドによっては3表回さずPLとCF計算書のみで60-90分の短い時間で分析させるケースもある。
PEファンドの試験ではいきなりLong formを作成させるケースは少ないと思われ、一般的なShort-form LBOが多いだろう。Short-form LBOモデルでは、①モデルのインプット項目の入力、②Sources and Uses, ③Pro-forma FS、④財務3表(Tax Schedule等含む)、⑤リターン分析が含まれるのが一般的である。
Long-formはここでは説明を割愛するが、基本的にはShort-form LBO modelに案件固有の論点を盛り込んだ複雑なものという理解で問題ないであろう。
Ability-to-Pay Analysis (ATP)とは
これは言葉を直訳して分かる通り、LBOにより会社を買収する場合、どのくらい払えるか (Ability-to-Pay)、すなわちエントリー時やエグジット時のEBITDA、ネットデット、目標リターンや投資期間等をモデル上でいじった際に必要なエクイティ出資額はどれくらいか分析するものである。
上記のShort/Long-form LBOモデルでは、財務3表をプロジェクションに従いまわす必要があるが、そのようなことを行わず本当に初期的な段階で簡易的な分析を行う際に役立つ。とくにPEファンドの面接で簡単なリターン分析やケースを出された場合に、実際にエクセルで数字をいじることで数値感をつかむという点で優れていると思われる
想定される質問の例
ある会社を買収し5年間の投資期間の最終年度のEBITDAが150、エグジットマルチプルは10xを想定している。ネットデットがエントリー時・エグジット時はゼロとする。要求IRRが20%の場合、ファンドの出資額はどの程度か。