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2025 PGAツアー展望 ⑤(期待の若手・米国編)
今回は、米国期待の若手に焦点を当てました。
1.アマでもプロでも優勝1回、米国期待の若手はまだまだ伸び盛り、ニック・ダンラップ
3年前に全米ジュニア、昨年全米アマに優勝。2つのアマチュアタイトルを獲得したのはタイガー以来の快挙だったダンラップ。
スポンサー推薦で出場したザ・アメリカンエクスプレス、3日目に60というパトリック・キャントレー以来、アマチュアがマークしたPGAツアーで1ラウンドの最少スコアタイ記録をマーク。
そして迎えた最終日も重圧の中スコアをまとめ、フィル・ミケルソン以来の31年ぶりPGAツアーアマチュア優勝を達成、その瞬間から一躍時の人となりました。
アラバマ大3年だったダンラップ、このまま大学卒業まで進むかどうかを家族や友人、そして大学関係者と相談した結果即プロの道に。
プロなりたての頃はなかなか成績を出せなかったものの、全英オープンと同週に開催された、PGAツアー唯一のステーブルフォード方式による競技であるバラクーダ選手権にプロとして初優勝。
PGAツアー唯一の、アマでもプロでも優勝した選手となりました。
まだまだ粗削りなところがあるスタッツですが、プロの水に慣れてくる来シーズン以降、台風の目的な存在になりそうです。
2.PGAツアーユニバーシティ経由で今年才能が開花、今年7人しかいない年間ツアー複数回優勝者の一人、オースティン・エックロート
オクラホマ州立大出身で、21年のPGAツアーユニバーシティランク3位でプロ転向し、コンフェリーツアーに出場。
翌22年のコンフェリーツアーで好成績を残し、23年からPGAツアーに出場。
そして今年コグニザントクラシックでPGAツアー初優勝、そしてフォールシリーズのワールドワイドテクノロジー選手権で2勝目。
今シーズン7人しかいない、PGAツアー複数回優勝者の1人です。
トータルドライビングでは1桁順位という優秀な成績であるものの、パーオン率が3桁順位という極端な恰好に。
その点を改善すれば、米国次世代代表格の選手になれるでしょう。
3.エックロートと同期の選手も今年才能が開花、大型選手がツアーを席巻する日も近いか、デービス・トンプソン
エックロートと同じく、21年のPGAツアーユニバーシティランク2位でジョージア大を卒業後プロ転向したトンプソン。
こちらも22年のコンフェリーツアーで好成績を収め、23年からPGAツアーに参戦。
デビュー2戦目となったザ・アメリカンエクスプレスでは、ピンを刺したままロングパットを行い、ボールがピンに当たってしまいカップに入らず、初優勝を逃す結果に。
もしピンを抜いていたら、ボールがカップに吸い込まれたと思われる状況でした。
そんなことにもめげずに戦った2年目、ジョン・ディアクラシックで見事ツアー初優勝。いやな負けを払拭しました。
すべてのスタッツが平均的で、これと言った穴がない今シーズン。
来シーズンは長身(190cm)を生かしたプレーぶりで、次世代選手の核になりたいところです。
4.最終戦でツアー初優勝の”御曹司”、自慢の自己データ分析で改善点を見つけツアーの主力選手となるか、マーベリック・マク二ーリー
サン・マイクロシステムズ創設者の一人である、父・スコットを持つ”御曹司”プレーヤー。
スタンフォード大に進学し経営学の修士を取得、フェデックスカップのポイントシステムに問題があるとPGAツアーに指摘。改定したマク二ーリーの案が認められ、来シーズン以降採用されるかもしれません。
アイスホッケーの選手でもあり、パイロットとしても活躍する正に文武両道を描いた選手です。
17年にプロ転向し、19年にPGAツアーデビュー。
ショートゲームのうまさではPGAツアー屈指の選手の一人です。
そして今シーズン最終戦・RSMクラシックでようやく掴んだツアー初勝利でワンランク以上のステップアップができたマク二ーリー。
余勢で来シーズンに突入します。
5.昨年今年とツアー1勝、ひょろっとした見た目から繰り出されるショットが魅力的なレフティ、アクシェイ・バティア
17歳でウォーカーカップ(欧米対抗アマチュア男子ゴルフ対抗戦)のメンバーに選出され注目を浴びたバティア。
多くの選手が大学に進学してプロになる流れとは別に、高校を卒業したと同時にプロに転向。
22年コンフェリーツアー、バハマ・グレートエミュラクラシックで10台の選手として3人目の優勝者(90年以降)になり、翌年PGAツアーに出場。
ルーキーイヤーはバラクーダ選手権でツアー初優勝。同週開催の全英オープンではブライアン・ハーマンが優勝しレフティが2人同時に勝ったことで話題に。
今シーズンはバレロテキサスオープンでツアー2勝目を挙げ、マスターズ出場最後の切符を獲得しました。
ツアー2勝はいずれもプレーオフという勝負強さがありながらも、8試合もカットがあり好不調の波が激しかったのも事実。
課題のパッティングが向上しているだけに、調子のムラをなくせば世界屈指のレフティと呼ばれることは間違いありません。
6.コンフェリーツアー上がりとは思えない大躍進、一気にツアープレーヤーと遜色ない資格を持ったレフティ、マット・マッカーティ
7月のコンフェリーツアー、アルバーソン・ポイズオープンでプロ初優勝を挙げるとそこから2勝を加算し、年間3勝でコンフェリーツアーポイントランク1位になりました。加えて、フォールシリーズからPGAツアーに出場することが可能になったマッカーティ。
フォールシリーズからPGAツアーデビューを果たすと、2戦目のブラックデザート選手権でPGAツアー初優勝を達成する快挙。
コンフェリーツアーランク1位とPGAツアー優勝の特典を合わせると、来シーズン開幕戦のザ・セントリー、ザ・プレーヤーズ選手権、そして米国で開催される3つのメジャー(マスターズ、全米プロ、全米オープン)全てにおいて出場可能。
一気に”フルステータス”の出場を得たマッカーティ、主力選手達が入る来シーズンに真価を問われそうです。