男女間で熱量がここまで違う?パリ五輪ゴルフ競技日本代表争い最終盤
いよいよ男女とも、パリ五輪ゴルフ競技・日本代表選考レースの最終盤を迎えました。
男子は6月17日、女子は6月24日現在の世界ランク上位2選手に五輪出場権が与えられます。男子は残り2週、女子は残り3週です。
男女とも最後の試合にメジャーが控えているのも特徴です(全米オープン、KPMG全米女子プロゴルフ選手権)。
しかしながら、この2つの争いは似て非なるものでした。
1.最終戦まで分からない、女子の代表争い
〇現在のランキング(上位5選手)
1.笹生優花 (ランキング 6位)
2.畑岡奈紗 (ランキング 19位)
3.古江彩佳 (ランキング 22位)
4.山下美有夢(ランキング 25位)
5.竹田麗央 (ランキング 40位)
〇笹生優花、日本代表に”当確”ランプ
全米女子オープン優勝でロレックスランク(世界ランク)のポイントを多く獲得し(100ポイント)、前週30位と日本勢4番手だった笹生優花がランクをジャンプアップさせ、6位にランクインしました。
笹生を他の日本選手がこれから抜かすには、3試合で相当な成績を出さなくてはならないので、まず日本代表になることは間違いありません。
〇残り3試合の日程
・JLPGAツアー
宮里藍・サントリーレディスオープン
(6月 6日~ 9日、兵庫・六甲国際GC)
ニチレイレディス
(6月14日~16日、千葉・袖ヶ浦CC新袖)
アース・モンダミンカップ
(6月20日~23日、千葉・カメリアヒルズCC)
・USLPGAツアー
ショップライトLPGAクラシック
(6月 7日~ 9日、ニュージャージー州・ザベイクラブ)
メイジャーLPGAクラシック
(6月13日~16日、ミズーリ州・ブレイターフィールドCC)
KPMG全米女子プロゴルフ選手権
(6月20日~23日、ワシントン州・サハリーCC)
〇畑岡・古江・山下三つ巴の争い、メジャーで決着か
こうなると日本勢2番手争いが熾烈です。
今週は畑岡と古江はショップライトLPGAに出場し、山下は帰国してサントリーレディスに出場します。
3人とも共通しているのは、ここ最近勝ち星から遠ざかっていること。
2016年アマチュアで日本女子オープンを史上最年少で優勝したのをきっかけにLPGAツアー出場の為渡米して7シーズン目を迎えた畑岡。
LPGAツアーで6勝、日本でも6勝を挙げていますが、2021年のアーカンソー選手権以来優勝から遠ざかっています。
この年は全米女子オープンで笹生にプレーオフで負け、そして昨年の同大会も3日目首位でスタートしながらアリソン・コープスに逆転を許すなど、ここ一番で実力がなかなか発揮できない、もどかしい状況が続いてます。
ロングドライブと外国で磨いた小技が武器です。
古江は2022年7月にスコットランドで行われたトラストゴルフ スコットランド女子オープンでLPGAツアー初優勝、10月に富士通レディースを日本で優勝して以降、優勝はありません。
特に2022年にスタートしたマッチプレー選手権(旧フォーマット)では2年連続決勝に進むもそこで敗退し準優勝という憂き目に。
それでも持ち前の安定したショットを武器にトップ10入りを何度も経験し、現在ポイントレース4位につけています。
2年連続でメルセデスランキング1位で年間女王になった山下も、今年はまだ日本での勝利はありません。
小技と強気のパッティングが武器の選手ですが、まだ昨年までの状況とまではいかない様子です。
2週間自分の”ホーム”で戦った後、全米女子プロゴルフ選手権に3人とも出場の意思を表明しています。
メジャー4日間でのワンショットワンパットがこれまで以上に重要な意味を持ち、より精神的なタフさを求められそうです。
2.一方男子の代表争い、2番手以降の選手が出場できる試合が・・・
〇現在のランキング(上位5選手)
1.松山英樹(ランキング 15位)
2.中島啓太(ランキング 86位)
3.久常涼 (ランキング 91位)
4.星野陸也(ランキング 105位)
5.金谷拓実(ランキング 119位)
〇2月既に五輪出場”当確”であまりにも無風状態、だが当の本人は出場に及び腰、松山英樹
今年初めは世界ランク50位以下になったこともあり、「いよいよ世代交代が起こるのか」と囁かれるようになった松山。
そんな周囲の喧噪を払うかのように、2月のジェネシスインビテーショナルでPGAツアー9勝目を挙げてからは、当時55位だった世界ランクが一気に20位までランクアップ。
そしてその後も好成績を残し、トップ20から一度も外れることなく現在に至ります。
あまりにも無風状態すぎた五輪選考レースですが、当の本人は五輪出場に及び腰。今後はそちらが焦点になりそうです。
〇残り2試合の日程
・PGAツアー
〇6月6日~9日
ザ・メモリアルトーナメント
(会場)ミュアフィールドビレッジGC(オハイオ州)
〇6月13日~16日
全米オープン
(会場)パインハーストリゾート&CCNo.2 (ノースカロライナ州)
※DPワールドツアー、ジャパンゴルフツアーも対象
・DPワールドツアー
〇6月6日~9日
ボルボ スカンジナビア・ミックス
(会場) バタトープスGC(スウェーデン)
・ジャパンゴルフツアー
〇6月6日~9日
BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ
(会場)宍戸ヒルズCC 西コース (茨城県笠間市)
〇6月13日~16日
ハナ銀行 インビテーショナル
(会場)ナムチュンチョンCC(韓国)
〇この間2番手と3番手の試合出場予定”ゼロ”という異常事態
女子は2番手争いが活発なのに対し、男子は異常事態に陥ってます。
中島啓太、久常涼ともこの2週間で試合に出ることは”ありません”。
中島は現在DPワールドツアーを主戦場としています。
先週ドイツのヨーロピアンオープンで6位に入りましたが、今週スウェーデンのボルボスカンジナビア・ミックスにはエントリーしてません。
そして現在世界ランクが86位であるため、来週までに世界ランク60位内になることが不可能なため、全米オープンも出場できません。
久常は現在PGAツアーを主戦場としています。
今週のPGAツアーは出場できる選手が制限されるシグネチャーイベント、ザ・メモリアルトーナメントです。
久常は出場資格を持ってなく、3日(現地・カナダ)に行われた全米オープン最終予選を突破できず、中島同様試合出場の予定がありません。
五輪出場候補2番手と3番手共に、2週間で試合出場の予定がないのは、極めて異例です。
〇4番手の星野、5番手の金谷に”チャンス”はあるが・・・
こうなると4番手の星野陸也、5番手の金谷拓実にチャンスの芽が出てきます。
DPワールドツアーを主戦場とする星野は、先月20日現在有資格者を除くレーストゥドバイランク最上位選手になり、全米オープンの出場権が与えられました。
ただし4月中旬に肺気胸を患い1週間入院、そこからリハビリが続いたため、凱旋予定だったHANDA選手権や出場権を持っていた全米プロゴルフ選手権の欠場を余儀なくされました。
先月末にようやく練習を再開し、体調も元通りになりました。
しかし復帰戦がメジャーの全米オープンともなると、実戦感覚がどこまで戻っているかが不透明ですし、4日間完走することを最重点に置くと思われるので、ポイントの上積みはそう望めないでしょう。
金谷は相性のいいジャパンゴルフツアー選手権をまず連覇する気持ちで来るはずです。
そしてダラス予選会を勝ち上がって掴んだ全米オープン出場ですが、前回全米プロで久常が18位タイになったにも関わらず、世界ランクは3ランク上昇したにすぎませんでした。
追いつくためにはより好成績を収めなくてはならず、高いハードルが待ち構えています。
余程のことがなければ、この2人が2番手にのし上がることはないと言い切ってしまってよいでしょう。
〇このまま進むと、”何もしなかった”中島に代表が
このままの流れで行くと、2週間”何もしなかった”中島に五輪の出場権が渡ることになります。
女子の熾烈な争いに比べ、ここまで無風状態の男子もどうかしてます。
代表が決まったら決まったで、男子にはまた違う懸念点がありますが、それは代表が決まった後にでも。