全英オープンゴルフ プレビュー①
今年の男子ゴルフメジャー4戦も、残すところ全英オープンを残すのみとなりました。
今年の会場はスコットランドのロイヤルトルーンGC、8年ぶり10回目の開催です。
去年の全米プロでブルックス・ケプカが優勝して以降、米国勢が現在メジャー大会6連勝しています。
今年は全英オープンの2週後に、パリ五輪ゴルフ競技も控えています。
出場する選手は例年とは違う過密な日程になりますが、世界最古のゴルフ競技にかける思いは変わりません。
今回から数回に渡り、注目選手をピックアップしていきます。
初回は優勝争いするであろう米国勢です。
1.公私充実している世界No.1、安定感と危機回避能力を武器にメジャー2冠目を狙う、スコッティ・シェフラー
今年の男子プロゴルフ界、この人をまず外す訳にはいきません。
シーズン序盤では高いショット力を持ちながらも、唯一の泣き所だったパッティングに足を引っ張られなかなか成績を残せませんでした。
しかし2月途中にパターをブレード型からマレット型にスイッチした途端に、シェフラーは”別人”になりました。
懸念点だったパッティングが”普通の選手”並みに戻り、3月からは勝ち星を荒稼ぎしまくります。
アーノルド・パーマーインビテーショナルで初優勝をしたのを皮切りに、プレーヤーズ選手権、マスターズ、RBCヘリテージ、メモリアルトーナメント、そしてトラベラーズ選手権の6勝を挙げました。
内訳はメジャー1試合、PGAツアー旗艦試合、そしてシグネチャーイベント4試合という非の打ち所が全くありません。
そして5月には愛息ベネット君が誕生し、公私ともに充実しています。
攻めるところは攻める、守るところは守るというコースマネジメント、危機管理能力、そして勝負勘が備わっているシェフラー。
全英オープンをぶっつけ本番で臨むくらいことが現状のウィークポイントとなるくらいで、優勝争いの中心にいることは想像に難くありません。
2.全米プロでメジャー戴冠、スコットランドとの相性も良くこちらもメジャー2冠目を十分狙える、ザンダー・シャフリー
今年の中盤までは3日目まで首位に立っていても、最終日勝負所でのショットやパットが決まらず悔しい思いを続けていたザンダー・シャフリー。
しかし5月の全米プロで、これまでの”自分”を越えました。
初日に4大メジャーで1ラウンド最少ストロークタイの62、昨年自身が全米オープンの初日に記録して以来、2度目の快挙で発進しました。
その後も安定したショットとパットで3日間を終了、コリン・モリカワと共に首位に並び最終日を迎えました。
最終組のモリカワを序盤から突き放し、前で回るブライソン・デシャンボーとビクトル・ホブランドの猛追にあったものの最終ホールでバーディーを奪い、念願のメジャー初優勝を挙げました。
それもメジャー大会史上最多アンダーパー(21アンダー)の記録で飾られました。
全米プロに優勝するまでは、2年前のジェネシススコティッシュオープンで優勝が最後のシャフリー。スコットランドとの相性もバッチリです。
前哨戦で弾みをつけメジャー2冠目を狙い、そして五輪で連続金メダルを目指します。
3.”皆で掴んだ”全米オープン優勝、今度は欧州のファンを味方に付けられるかがメジャー2冠目へのカギ、ブライソン・デシャンボー
四半世紀前、南メゾジスト大の先輩であるペイン・スチュアートがパインハーストNo.2で初開催された全米オープンに優勝。しかしその年の秋に飛行機事故で帰らぬ人となりました。
大学の体育館に描かれたスチュワートの絵を見て進学を決め、NCAA選手権と全米アマチュアに優勝し、鳴り物入りでプロの世界へ。
専攻の物理学を生かし一定の長さに揃えたアイアン、ボールを塩水に浸けお眼鏡にかなったものを使用、そして独特のパッティングスタイルなど独特の世界観を持つ選手です。
肉体改造も行いドライビングNo.1の称号も彼の代名詞となりました。
しかし成績を残せなくなり、一昨年LIVゴルフに移籍。もう一度自分を見つめ直すきっかけとなりました。
PGAツアー時代はなかなかファンが寄り付かなかったこともあり、自身でSNSを立ち上げ新たなファンを獲得。
大会中も気さくにファンとハイタッチしたり、必要に応じてサインをしたりしてファンと共に戦っている姿勢を見せたデシャンボー。
この姿勢が天国の父と大先輩に伝わったのか、最後のパーパットを決めた瞬間渾身のガッツポーズを見せ、4年ぶり2度目の全米オープン優勝を決めました。
表彰式では契約上LIVゴルフで被っている、NEWERAのキャップ(クラッシャーズGC)から大先輩のトレードマークであるハンチング帽に被り直し天に向かって右手人差し指を突き上げたシーンは、大勢のギャラリー達の喝采を浴びました。
全米オープンでは味方になったギャラリーが、今度全英オープンではギャラリー達がデシャンボーの”味方”になるかどうかがカギになりそうです。
4.初出場となった3年前に栄冠を掴んだ時をもう一度、世界ランク上位に劣らないショットは自身の武器、コリン・モリカワ
3年前ロイヤルセントジョージスで行われた全英オープン、モリカワは持ち前のショットを他の選手達に見せつけ、初出場で初優勝という離れ業を達成しました。
前年の全米プロでも初出場初優勝、2つのメジャータイトルで偉業を達成する初めての選手になりました。
その後2年間は惜しいところまでは来るものの優勝になかなか届きませんでしたが、昨年のZOZOチャンピオンシップで復活優勝。モリカワここにありとファンにアピールしました。
今年のメジャーでもマスターズ、全米プロでは最終日最終組になるもののシェフラー、シャフリーの後塵を拝する結果に。
肝心な所でのショートゲームやパッティングに課題があるといったところです。
安定した実力は誰しもが認めるところ、勝負強さを発揮できるかが2度目の栄冠を掴めるポイントです。
5.2つのメジャーで5度優勝も全英オープンはあと一歩、優勝すればキャリアグランドスラムへリーチ、ブルックス・ケプカ
全米プロでは2連覇を含め過去3勝、全米オープンでは2連覇を達成して5つのメジャー優勝があるケプカも、全英オープンではもう少しで優勝に手が届くといった状況です。
全英オープンにはこれまで9回出場し、2019年ロイヤルポートラッシュではこれまでの最高位4位タイに入り、トップ10に4回入っています。
ただしLIVゴルフに移籍した一昨年からは別人の成績です。
(22年:カット、23年:64位タイ)
”メジャーハンター”の異名を持ちながらも、この2年は全く実力を発揮することなく終わってしまったケプカ。
全英オープンに優勝すれば、史上6人目のキャリアグランドスラムにリーチがかかりますし、LIVゴルフの仲間であるデシャンボーが全米オープンに優勝したり、リチャード・ブランドが全米プロシニアと全米シニアオープンでシニアメジャーで連続優勝したことも発奮材料となるでしょう。
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