2024PGAツアー ブラックデザート選手権
1.日程及び会場
〇日程 2024年10月10日~10月13日
〇会場 ブラックデザート・リゾート(ユタ州)
〇全長 7371Y(Par71)
2.結果
優勝 マット・マッカーティ -23
(PGAツアー初優勝)
2 シュテファン・イエガー -20
T3 ケビン・ストリールマン -19
T3 ルーカス・グラバー -19
5 マーティ・シュミット -18
T6 ジョー・ハイスミス -17
T6 ハリス・イングリッシュ -17
3.サクセスストリーは終わらない、コンフェリーから昇格しPGAツアー出場2試合目で掴んだ初優勝、マット・マッカーティ
コンフェリーツアーの余勢が続いていました。
3日目2位に2打差の単独トップに立ったマット・マッカーティが、1イーグル4バーディー2ボギーの4アンダー67で回り、トータル23アンダーでPGAツアー初優勝を挙げました。
今年コンフェリーツアーポイントランク1位に輝いたマッカーティ。年間3勝を挙げたことでレギュラーツアーの残り試合で出場可能に。
サンダーソンファームズでレギュラーツアーデビューし、63位の成績で迎えたこの週に、大偉業を達成しました。
〇”ラッキー”だったのか、最終組のペアリング
ワンウェイのツーサムで進行した最終ラウンド。
同伴競技者がこれまたレフティーのジョー・ハイスミス。長いPGAツアーの歴史の中で、最終日最終組がレフティーのツーサムになることも珍しいことでしょう。
しかし同じレフティー同士だったのが、マッカーティにとって優位に働いたのではと考えられます。
〇乾坤一擲のショットで獲ったイーグル
序盤に2つバーディーを奪い、後続も伸び悩みマッカーティにとっておあつらえ向きな展開となった最終日の中盤。
マッカーティに気のゆるみが出たのか、12H(Par4)でボギーを叩き、9アンダー62で回り先にホールアウトしたルーカス・グラバーに1打差まで詰め寄られました。
しかし1オン可能な14H(Par4)、スプーンを選択しきれいなドロー回転をかけるマッカーティのティーショットが、ピン右横約1mにつける試合を決めるショットとなりました。
マッカーティはこのイーグルパットを難なく決め、優勝に大きく前進する格好となりました。
〇7月以降の結果で決めた、コンフェリーツアーポイントランク1位
マッカーティは今年、コンフェリーツアーからスタート。
6月までは目立った成績もなく、これと言ったものがありませんでした。
しかし7月のプライスカッターチャリティでコンフェリーツアー初優勝を飾ると一気に勢いが加速。
8月のピナクルバンク、アルバートソンポイズでコンフェリーツアー年間3勝を達成しました。出場6試合での達成です。
1997年からコンフェリーツアーで3勝(以上)を達成した選手は、この年残りのPGAツアーの試合に出場可能となりますが、マッカーティはこの制度で24人目の選手となりました。
単一年での達成は2016年のウェスリー・ブライアン以来、そしてPGAレギュラーツアーにも優勝したのは2005年のジェイソン・ゴア以来の快挙です。
〇この3か月で一気に変貌したマッカーティ
マッカーティの将来は、この3か月で一気に変わりました。
コンフェリーで3勝したことで今年残りのPGAツアーに出場できることを皮切りに、コンフェリーツアーのポイントランク1位ということで来年のPGAツアーに出場できるだけでなく、プレーヤーズ選手権と全米オープンの出場権も手にしました。
そして今回の優勝で、ツアー出場が2年間に延長するだけでなくマスターズと全米プロのメジャー2戦、それに開幕戦のシグネチャーイベントのザ・セントリー出場権を獲得しました。
メジャー3大会をはじめとする、主要大会に出られることになったのは大きな変換点となったでしょう。
更に世界ランクもこの優勝で現在の76位から上昇することは間違いなく、50位以内も見えてきます。
そうなると全英オープンの出場も可能になり、来年はすべてのメジャーに顔を出せるかもしれません。
そしてフェデックスカップフォールランクも95位まで上昇。道は厳しいですが上位10人に与えられるシグネチャーイベント2試合の出場権(AT&Tペブルビーチプロアマ、ジェネシスインビテーショナル)も見えてきました。
コンフェリーツアーから続く”サクセスストーリー”、今後も楽しみです。
4.レフティー優勝、今季3人目
マッカーティの優勝で、レフティーの優勝者が今季3人目です。
アクシェイ・バティア
(バレロテキサスオープン)
ロバート・マッキンタイヤ
(RBCカナディアンオープン、ジェネシススコティッシュオープン)
マット・マッカーティ
(ブラックデザート選手権)
今大会にも出場した、先日のプレジデンツカップインターナショナルチームのキャプテンであるマイク・ウィアが、若いころジャック・ニクラスに手紙を書いたことがあります。
「僕は左打ちですが、周囲からは右打ちに変更したらどうだと言われます。どうしたらいいですか」という質問に、ニクラスは「自分が納得できるスイングをしなさい」と返答し、ウィアは左打ちを貫く決意をしました。
その結果ウィアはレフティー初のマスターズチャンピオンになりました。
左打ちを矯正し右打ちにする従来の方法から、選手の個性を重視する最近の成長方法になってきた現代。
レフティー選手の市民権がより強固なものになっていくことでしょう。