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インドからの吉報、中島啓太DPワールドツアー初優勝

 昨日速報で投稿した通り、インドで開催されたDPワールドツアー・ヒーローインディアンオープンで中島啓太がトータル17アンダーでDPワールドツアー初優勝を挙げました。
 昨年のジャパンゴルフツアー賞金王の資格で今年から出場している中島。出場6試合目での快挙達成です。


1.スコアとしては”圧勝劇”、さて内容は

〇難攻不落の開催コース

 開催コースのDLFゴルフ&カントリークラブは、フェアウェーを搾りラフを適宜な長さにセット。グリーンもうねりがあります。
 そしてハザードも効果的で、バンカーのアゴを高くして壁状にしている箇所が多く、視覚的にもプレッシャーを与え、一筋縄では攻略できないコースです。

 フェアウェイ幅が20ydを切ってくるようなエリアに、ティショットでしっかり刻まなくてはいけないホールもあり、セカンド以降のショットを待ち受けるのは高速グリーン。それも上下に大きくうねっていて、落としどころを間違えるとピンからははるか彼方に…。
 なにせ強調したいのが、コースのコンディションの良さです。ラフも深く、毎年最高の仕上がりで選手を迎えてくれます。深いバンカーの壁は、スコットランドのポットバンカーのように芝と砂をミルフィーユ状にしたものではありません。樹脂のような特殊素材でできていて、ボールをぶつけると跳ね返ってきそうでもあります(実際にはそんなに跳ね返ってきません)。

GDO 川村昌弘コラム「いま僕はココにいます」

 加えて気温が35℃を超えるインドの気候も加わり、スコアがなかなか伸びない展開がこれまで多く、SSPチャウラシア(インド)の15アンダー
が大会記録でした。

〇3日間の快進撃

 試合が始まると、中島の快進撃が始まりました。
 初日8バーディー1ボギーの7アンダーで首位タイに立つと、2日目は前半に5連続バーディーを奪い単独首位に。
 後半3連続ボギーもありましたが、その後バーディーを奪い気持ちを落ち着かせた中での18H(Par5)。
 2オンした後のイーグルパットを決め、この日1イーグル8バーディー3ボギーの初日と同じ7アンダー。トータル14アンダーになり2位と2打差で試合の後半を迎えます。
 3日目は得意の前半でこれまでスコアが伸ばせなかったのもあり我慢の時間帯が続きましたが、6バーディー2ボギーの4アンダーで回り、トータル18アンダーと2位に4打差をつけ、最終日を迎えました。

〇最終日、今大会の中で一番苦しかった1日

 最終日はいきなりバーディースタートだった中島。
 6H(Par4)ではティーショット池に入りそうだったのが、ラフに止まりセーフ。
 そこからの2打目をグリーンに乗せ、10m以上もあろうかというバーディーを沈め21アンダーに到達。
 一時は2位に8打差をつける時間帯もありました。

 しかしこれだけの大量リードと熱い天候、そして一筋縄ではいかないコースが襲ってきます。
 14H(Par4)は、フェアウェーからのセカンドショットがグリーン右手前の傾斜に乗ってボールが落ち、ここからのアプローチもグリーンを捉えることができずダブルボギー。
 15H(Par5)はバーディーとするも、アプローチの冴えがここにきて影を落とす格好となりました。
 結局3連続ボギーを叩く格好にはなりましたが、これまでの貯金が大きかったため何とか逃げ切れることができました。

〇14Hは”鬼門”

 今大会でボギー以上の結果となったのは72ホール中11回です。
 このうち14Hは4日間ともボギー以上のスコア(1〜3日目:ボギー、最終日:ダブルボギー)で、このホールだけで5オーバーでした。

2.前戦で”完走”できたのが大きかった

〇オーストラリアの合宿に参加

 南アフリカでの試合後、トップアマチュア選手が集まったJGAナショナルチームが、オーストラリアで合宿しているということでそこに参加し、練習を重ねてきました。
 ヘッドコーチであるガレス・ジョーンズ氏に指導を仰ぎ、問題点を洗いざらしにして、そこから解決策を見出していました。
 これを見ていたアマチュア選手達も中島にいろいろと指導なり質問をし、有意義な合宿期間となりました。

〇そして臨んだ次の試合、薄氷を踏む思いで4日間戦えた

 合宿を終了しその足でシンガポールに向かい、そして試合に臨んだポルシェシンガポールクラシック。
 2日目カットラインぎりぎりのところにいる中バーディーを奪い、週末に進めることができたことが大きいでしょう。
 南アフリカで失意のカットを受け、それから合宿に参加しもう一度見つめ直したことが結果として残ってくれたことが奏功したと考えられます。

〇「Just Keep Going」

 ナショナルチームのスローガンに「Just Keep Going」があります。
 「このまま進んで行こう」、「前進あるのみ」という意味です。
 日本で開幕戦を迎えていた、勝手知ったるライバルでもあり相談相手でもある金谷拓実からラインで「JKG」のメッセージがあり、すぐさま同じメッセージを返答しました。
 国は違えど、お互いのことをよく知っているからこその”対話”でしょう。
 その金谷もジャパンゴルフツアー・東建ホームメイトカップで安定した実力を発揮し、ツアー6勝目を挙げました。

3.優勝でこんなにも変わるステータス

 この優勝を受け、以下のようにステータスが変更されました。

ステータス17:各ツアーのオーダーオブメリット1位の選手(優勝前)

ステータス 3:総額200万ドル以上の試合での優勝者(優勝後)

 これにより、いつ試合に出られるかという心配を一切しなくてもよくなり、加えて優勝直後から今年いっぱいと来年から2年間の試合出場が可能になりました。
 きつきつのスケジュールから、ゆとりを持った計画に移行できるという点でも大きいです。

4.DPワールドツアー日本人選手5人目、というよりこの半年で3人が優勝

 今回の優勝で、DPワールドツアー(欧州ツアー)の日本人優勝者が5人目となりましたが、それよりこの半年で3人の選手が優勝したことに驚きを隠せません。
※松山英樹はWGC2勝とマスターズ

 この半年を振り返ります。
2023年9月 カズーオープン・デ・フランス 久常涼
2024年2月 コマーシャルバンクカタールマスターズ 星野陸也
2024年3月 ヒーローインディアンオープン 中島啓太

 これだけ優勝者を輩出できているのも、JGAナショナルチームの教えが大きく関わっているのかと思います。
 ジョーンズヘッドの考え方がだんだん浸透することで、外国に出ても負けなくなってきました。

5.これからのいろいろな戦いが面白くなってきた

 男子ゴルフ五輪日本代表は誰なのか、メジャー出場はどうなるか。
 そして今月末の御殿場の試合はどうなるかなど、いろいろと興味が集まってきました。
 その点については、後日投稿します。

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