「所得の再分配」という幻想
我々は税金や社会保険料の意味を「所得の再分配」だと教えられる。
お金をたくさん稼いでいる人から多く徴収し、それをお金が必要なところに流すことによって、みんなで幸せになっていきましょうという制度だ。
そういうと聞こえはいいが、もっとはっきり言うと、お金持ちからお金を巻き上げ、貧乏人にばらまく制度だ。
とはいえ、当然社会の治安の意味でもそれは必要であるし、基本的には僕自身も上記の仕組みについては疑問をもっていない。
しかし、問題は、今の日本社会は「所得の再分配」などできていないということだ。
つまり金持ちから巻き上げ、貧乏人に配るということができていないのだ。
金持ちから金持ちにお金を渡したり、貧乏人から金持ちにお金が渡ったり、社会にとって必要でないお金の動き方になっている。
分かりやすいのは、高齢者の医療費自己負担が一割であることや高額療養費制度、または一定年齢以上になると受け取る年金制度だ。
果たして、本当にその人はそれだけの援助を受ける必要がある人たちなのだろうか。
その陰で現役世代に重い負担があるわけだが、それに値する状況になっているのだろうか。
政府は「所得の再分配」というが、一つ考えてみてほしい。
今の政府は個人の資産に応じた、給付や負担の制度すら作れないのだ。
資産を把握できないのにどうやって「所得の再分配」などが機能するのか。
資産が数千万、数億ある人に対して、低所得者というラベルを貼って、現金をばらまくことのどこが「所得の再分配」なのか。
そこに何の必要性があるのか。
つまり、今の政府に所得の再分配などできるはずがないという現実を、まず我々現役世代は認識する必要がある。
そうすると、現役世代が今の政府に求めるものというのはおのずと一致してくるだろうから、世論が形成されて、声を上げやすくなると思う。
ここまでは主観ベースで話をしてきたので、最後に「所得の再分配」が機能していないという根拠を示しておきたい。
『教養としての社会保障』(著 香取照幸)から引用する。
相対的貧困率とは、所得の中央値から離れた人がどれだけいるかを示している。
日本は、所得の再分配を行った後に、相対的貧困率が上がっているのだから、所得の再分配によって格差を拡大しているのだ。
それこそが、所得の再分配が機能していないという証拠なのである。
ここまでの内容を押さえた後に、某議員の下記のようなポストを見ると味わい深いですね。何がしたいかが透けて見えすぎて。
寝言は寝てから言ってくださいな。
それではまた。