「モリコーネ 映画が恋した音楽家」 3 極楽試写会/コラムンの犬 2022年12月9日 13:28 https://gaga.ne.jp/ennio/試写の案内はもう1か月以上前に届いていた。が、僕は後のお楽しみと大切にとっておいて暦が12月になり「さて!」と昨日、極楽試写した。多くの映画音楽に名作を送り出した巨匠エンニオ・モリコーネのドキュメンタリー。ともかく、監督のジュゼッペ・トルナトーレ監督のモリコーネ愛が満載されている作品。監督自身まだ新人に近い時期にあの「ニュー・シネマ・パラダイス」の制作をするのだがその際にすでに巨匠との名声を得ていたエンニオに音楽を要請した。若手の監督に対し経歴とか名とかに関係なく、同じ目線で制作に取り組んでいるエンニオの真摯な姿勢にジュゼッペ・トルナトーレは心打たれ、そしてあの名作が生まれた。その後も「海の上のピアニスト」等へとつながっていく。エンニオは若い時期にクラッシックを学び、当初はその厳格な世界での活躍を期待されたが1960年代、いわゆるイタリアの流行歌の世界に踏み込みそこから映画音楽へと進んでいく。マカロニ・ウェスタンのあの音楽をはじめ。ここで記しておきたいのがこの彼の音楽学のルーツの部分だ。作品中でも度々本人が語っているが彼の作品の根底にあるのは、若い時期に学んだクラッシックの作曲法にある。(当時は)軽く見られていた映画音楽にクラシックの世界からある意味ドロップアウトした彼、もちろんコンプレックスはあったと思う、しかし、そのコンプレックスをバネとしてかつ、常に、自身が学んだクラシックの作曲法を駆使しというか作曲の基礎を習得していたからこそエンタテイメントの音楽界であってもその地位を確立できたということだ。僕は度あるごとに言及することに、ピカソの例がある。ある意味わけわからんキュビスムの現代アートの巨匠だが実は彼はデッサンの天才である。まだ10代そこそこの時に絵画の基礎、デッサンを完璧に習得していた。その才能を父親が気付き後の大天才、ピカソが生まれる。何が言いたいかというと、基礎、基本ができているか否によりその上に(そこから飛び出して)できたものの違いは大きいということ。その可否により百戦錬磨の世界でも生き残る、いや!トップに立てるということだ。エンニオがまさにそれ。曰く「もはや音符は重要ではない。重要なのは音符で何をするのか」彼のこの言葉は、『音符がなんであるかを学び知り尽くした』からこそ出てくる言葉なんだと、僕は理解する。さて作品は本人と70人以上の著名人のインタビューと関係する作品映像等で構成される。タイミングごとに(おおおお、おおおお、そうそう、そうそう)とみるみる前かがみになってしまったことも確か。ただし、願わくばもう少し短くしてもよかったのではと。名監督監ジュゼッペに物申すのはなんだが特に当初の10数分とラスト近くの10数分はもう少し整理できたのでは。まっ、これもジュゼッペがいかにエンニオを愛し、尊敬していたことの証かな、とも。残念ながらエンニオは2020年に亡くなっている。2023年1月13日 公開 いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #映画 #モリコーネ映画が恋した音楽家 3