「聖地には蜘蛛が巣を張る」
イランに巣くう根の深いジェンダー問題をえぐり出す
イランの聖地マシュハドで殺人鬼“スパイダー・キラー”が
16人もの娼婦を殺害した連続殺人事件からの着想された本作は
単なるクライム・サスペンスではない。
監督はイラン出身で北欧を拠点に活躍するアッバシ監督、
北欧ミステリー『ボーダー 二つの世界』で、
カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリを受賞した北欧ミステリーの鬼才。
撮影地はイランでの許可が下りず、ヨルダンのアンマン。
主演はザーラ・アミール・エブラヒミ。
彼女自身性的スキャンダルの被害者となり、
国民的女優として成功を収めていたイランからフランスへの亡命を余儀なくされた。
一方、彼女が演じるジャーナリストの主人公ラヒミにも、
性差別的なスキャンダルで不当に職を追われた過去があるという設定で
自身の人生に重なる鬼気迫る演技だ。
イスラム、イラン世界に存在する信じられないようなジェンダー問題
「人間の深淵に潜む狂気を極限まで掘り下げた作品」。
事の発端から結果に至るまでつくろうことなく表し
実情を私たちに知らしめてくれる。
第75回カンヌ国際映画祭 女優賞
アカデミー賞デンマーク代表作品
2023年4月14日 公開