「弟は僕のヒーロー」

映画『弟は僕のヒーロー』公式サイト
https://mimosafilms.com/hero/

「大事なこと」を教えてくれる作品。
普通だとこういうジャンルの映画の場合「大切な事」と書くことが多いと思うが
僕はあえて「大事な事」と記す。
というのは、
ダウン症とは
知的障害があるという事はなんとなくだが知っていたが
それだけではなく
内臓疾患やその他多くの障害を伴い
早世する率も高いという事を知ったことだ。

イタリアの幸せな家に
4人目の子が生まれる。
主人公の少年にとって初めてのその弟はダウン症。
ストーリーの軸は
この少年が青年になる過程で
障害のある弟の存在を否定してしまった自分を乗り越える姿にある。
弟は隠す存在ではなくまさにヒーローなんだと(気が付き)
二人の姿をYouTubeにUPすることで・・・。

家族の悩むところは
傍が勝手に思うような「障害児を持つ引け目」ではなく
・・・そんなものは微塵も感じていない・・・
先に書いたように、早世してしまう可能性に対する点であるのだが
この悩みを吹き飛ばしてくれる自分たちのヒーローと
彼を暖かく包み込むこの家族の強さ明るさが美しい。

監督のステファノ・チパーニは1986年、イタリア、サロ生まれの三十代半ばで本作が初の長編監督作。
配役は
主人公のジャックに若手の注目株フランチェスコ・ゲギ
父親役にイタリアを代表する人気俳優アレッサンドロ・ガスマン
そしてなにより
弟、ピュアな心を持つジョー役には、実際にダウン症のあるロレンツォ・シスト

原作は
1997年イタリア生まれのジャコモ・マッツァリオールによる『弟は僕のヒーロー(原題:Mio fratello rincorre i dinosauri)』
ダウン症の自分の弟と一緒に制作したショートムービーを2015年にYouTubeに公開したことで話題になり本作で作家としてデビュー。
そして原作の文庫版が発売されたばかりです。買って読もうっと!
Amazon.co.jp: 弟は僕のヒーロー (小学館文庫 マ 8-1) : ジャコモ・マッツァリオール, 関口 英子: 本
https://www.amazon.co.jp/%E5%BC%9F%E3%81%AF%E5%83%95%E3%81%AE%E3%83%92%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%BC-%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E9%A4%A8%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%83%9E-8-1-%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB/dp/4094072853/


良い作品だあるからこそ
一言「僕なりの」苦言を記したい。
作品中で主人公が高校の素行の良くない仲間とマリファナを吸うシーンが複数出てくる。
事実なのか、演出的な加筆なのかはわからないが
このような作品に若者がごくごく当たり前のように違法薬物を吸うシーンは入れてほしくない。
これを見た若者が「ああ、イタリアでごく普通の若者が、ごくごく普通に吸ってるんだ・・・」
なんてとらわれなくもないし、それでこの作品を見る彼らのこうしたハードルが低まることを誘引してしまいかねないことを危惧するんだな。
もちろん言論、表現の自由にどうこう言うつもりは毛頭ないが
僕としては、こういう作品だからこそ、そう思うのです。お許しいただきたい。


2024年1月12日 公開

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