「サハラのカフェのマリカ」

映画『サハラのカフェのマリカ』
https://sahara-malika.com/


僕はこういう映画は好きです。
人によっては異論が多いと思いますが、
でも、僕はこういう作品は好きです。

サハラ砂漠を通る主幹道路の脇のカフェを
一人で切り盛りする年老いた女主人「マリカ」。
彼女のもと、店を訪れる、多彩な人々との交流・・・
思わず引き込まれてしまう不思議な世界がそこにある。

それは作品解説にある
「アルジェリアで誕生した21世紀の”バグダット・カフェ”」
このコピーがまさに言えて妙。
ただし「バグダット・カフェ」は良い意味で作為的な作品であるのに対して
この「サハラのカフェのマリカ」はこれもまた良い意味で作為的ではない点が
大きな違いではないだろうか。
バグダッド・カフェ : 作品情報 - 映画.com
https://eiga.com/movie/47884/

監督は1986 年アルジェリア生まれの新鋭
ハッセン・フェルハーニ
僕はもちろん初めて出会う監督。
彼の作品へのメッセージを読んで上記の違いの理由が判明した。
その一部を引用する
「・・・劇映画とドキュメンタリーの違いは何を重視しているのか。
前者は撮る前に脚本、台本を書くが後者は撮ると同時に書いている、
少なくとも私はそうしている。
ドキュメンタリー映画では何がリアルかが物語を決める。
私は何が現実かを追及するため、どうしてもフィクションが混じってしまう。
『サハラのカフェのマリカ』では色んな観点から観たアルジェリアの現状を描いている。
でも社会学的観点から映画を撮りたくないので、典型的な人物像は求めてはいない。
私はあくまでも映画を作っているから。・・・」

本作品で助演のチャウキ・アマリ、
俳優、コラムニスト、風刺画家でもある彼は
その著書である「Nationale1」の中で
サハラ砂漠を描いていた。
それがハッセン・フェルハーニの目に留まり
共にこの地を訪れた際に
偶然にも「マリカ」に出会った、というわけだ。
こうした強烈な出会いが本作品を生んだ、ということが事実(ドキュメンタリー)。

もう一点、
マリカをはじめこの店を訪れる皆がイスラム教信者。
彼らは事あるごとに神に言及する、
そこでイスラム教の世界観が語られることで
自分に多様性の意識を再認識させた作品でもあった。

2022年8月26日 公開

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?