「ココでのはなし」

映画「ココでのはなし」公式HP
https://www.cocohana-film.com/


若い監督の映像作品としてよく見られるストーリ【だが】。。。
本作も
心癒される場に集う若者達を淡々と描く作品、
では何故こうした作品が多いんだろう。

東京の下町にある古い民家を改装したゲストハウス。
そこに一人だけ年老いた吉行和子と若者たちが行き交うゲストハウスでの
観る側にほんのりとした時間を提供してくれる静かな作品。
それだけ、とも言えなくはないが
ただし何とも心静まることも確か。
配役としては
吉行和子が良いキーになっているし主演の山本奈衣瑠は演じている。
他の出演者は演じているというよりほぼ素の状態のようで、これも狙ったの事か。
だいたい先の二人以外僕は全く初めての顔ぶれだった(単に僕の邦画知識不足)。

見始めて(この監督きっと若いな)とすぐに思ったし
(多分ミュージックビデオを作っていたりしたのでは)とも。
資料見たら当たってた。
監督の「こささりょうま」は
「1993 年生まれの神奈川県出⾝で本作で⻑編映画監督デビュー、
MV やテレビドラマなど活動の場を広げる」とある。


その手法は別として
気が付いた、気になった点がある。
今までのこうしたストーリ、テーマの作品では
主人公をはじめ登場人物がそれぞれに「普段の喧騒とした世界に疲れ逃れて集まってくる」というのが常套だ。
しかし本作では、このゲストハウスに集うほぼすべての人物が
もともと緩い仕事や生活で時間を過ごしていた。
主人公であっても、ここに至るバックグランドのストーリはあるがそれも決して喧騒から逃れるのではなく
そもそも時間の流れの緩い「田舎」、それは逆に人付き合いの濃い「田舎」から逃れてきた。
緩い人がより緩い環境を求めて集う、
そしてそれが恒常的な場ではなくひと時を過ごすゲストハウス
という点に
今の若者の姿が見て取れる気がした。
・・・そんなんでよいのかな、若者よ、、、とかも。

僕の時代は
真夜中のカーボーイが都会の喧騒の中で刺激を受けつつ
心の安らぎを求めてたんだけどな。

時代は変わるね。

【この監督
やはり若いし映画経験も浅い。
淡々と流れる映像とストーリの中に監督の思いを込めて描いていこうとする姿勢は見て取れる。
それが決して本作自体が「青い」とか「浅い」ということは意味していない。
ただし、それは実は難しい。
今後ここから昇華していくことを期待したい。
荻上直子の世界やはたまた小津安二郎の世界(は、言い過ぎかな)まで、目指してほしい。】

2024年11月8日 公開

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